カウンセリングにおける傾聴の役割

カウンセリングにおける傾聴の役割

カウンセリングという言葉は心理カウンセリングに限らず、就職、法律、美容、結婚などさまざまな業界が使っているので言葉の使い方も人によってだいぶ異なります。傾聴とほぼイコールとしている団体もあれば、臨床心理士の業務をカウンセリングというという意味の団体もあります。逆に心理療法の専門家もカウンセリングという言葉を使います。ここでは傾聴+α=カウンセリングと定義して、ご説明します。

1.カウンセリングが成立する条件

カウンセリングが成立するためには3つの条件があります。

1)ラポール(信頼関係)

カウンセラーとクライアント(相談者)の間にラポールと呼ばれる信頼関係ができていることが前提になります。一部の特殊な心理療法をのそけば、クライアントがカウンセラーを信頼していなければ、カウンセリングの効果が期待できないからです。

2)傾聴

じっくりとクライアントの話を聴き、その人の心や頭の中がどんな状態になっているのかを把握するとともに、クライアントの訴えに共感して、クライアントと同じ視点に立ちます。多くの場合、クライアントは理解されにくい特殊な状況にいますから、傾聴によってカウンセラーとクライアントの味わっている世界観を合わせます。

3)望む結果

傾聴をしていても心が休まったり、勇気が出てくることがあります。カウンセリングは病院や学校などで問題を抱えた人や精神疾患に苦しむ人のために使うことが多いですから、多くの場合、何らかの成果を求められます。カウンセリングで使用するスキルは傾聴の延長線のカウンセラーもいれば、全く別の心理療法やボディーワーク、芸術療法などを使う人までさまざまです。いずれのスキルを使うとしても傾聴がベースにないと求めていることとは違う方向に行ってしまったり、ギクシャクしてしまってカウンセリングに集中してもらえないなどの問題が生じることもあります。

2.カウンセリングにおける傾聴の役割

カウンセリングの技術によって、傾聴に求められるものは違います。原因論的なアプローチをする場合にはその人の生育歴や家庭環境、これまでどんな経験をしてきたかなどの情報とそれにまつわる感情の共有が欠かせません。
例えば、風景構成法を使うときにクライアントの利き手を把握していない人がいますが、それでは見立てが左右逆になってしまいます。「今まで頑張ってきたんですね!」と見立てても未来と過去が逆なので「いや、これから頑張ろうかと思って、、」と完全に逆転してしまいます。フォーカシングは一部のパーソナリティ障害の人や離人症の人には不向きですし、仕事の問題を解決するのに幼少期の問題まで絡めなくても良いこともよくあります。
そんな臨機応変な対応をするためにもクライアントの世界観をしっかりと理解しておく必要があります。特に事情聴取のような情報収集は簡単ですが、非言語的なメッセージをどのように把握しているかでカウンセリングのやり方が変わってきます。
逆に対面でただ傾聴をするのが難しい人には心理療法を序盤で使いながら、変化をもたらすためではなく、傾聴を深めるために利用することもできます。

1件のコメント

  1. 日々、傾聴の記事を拝読していますが、傾聴の奥深さを感じています。
    傾聴は心理療法の前に使うものかと思っていました。傾聴の質でその後の心理療法の効果が変わると感じていましたが、心理療法を活用して傾聴を深めることもできるんですね。
    確かに、日々、人と関わっていて、心理療法を活用して人の心にグッと入ってから、傾聴がやりやすくなった経験がありました。

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