アセスメントとしての傾聴

アセスメントとしての傾聴

基本的には傾聴は「心を聴く」ことを役割として、話を聴くことを指します。しかし、福祉施設や病院などでは「状況を把握する(アセスメント)」という目的のために傾聴をすることもあります。

1.アセスメントとは

本来アセスメントとは環境の分野で主に用いられていた用語です。カウンセリングや福祉、医療の分野でアセスメントといった時には「その人がどういう状況で何を求めているのか?」を把握することを指します。

1)身体的状況

アセスメントの第一歩はその人の持つ身体的な状況です。身体が動くのかどうか?痛みや倦怠感がないか?五感は問題なく機能しているかなど身体的な状況を把握します。身体的に問題が生じているのに気持ちの問題、気合いの問題と誤ったアセスメントを元に支援計画を立てると結果が出ないだけでなく、その人を苦しめてしまいます。

2)心理的状況

人は心のあり方によって、世界の見え方が違います。元気がなければ、たくさん活動することもできません。心理的状況をアセスメントすることでよりその人にあったサポートをすることができます。傾聴の主な役割の一つとも言えます。

3)社会的状況

一般的な傾聴では「気持ち」にフォーカスしすぎるので社会的状況についてのアセスメントが十分ではないこともあります。その人が社会的にどのような状況に置かれているのか?これもその人を支える意味で重要な要素です。

4)人間関係

人は人と関わって生きていますから、周囲にどのような人間関係があるかをアセスメントしておくことも重要です。傾聴の際に出てきた、個人名、人間関係を把握するようにし、その周囲にいる人にも意識を向けることでより広くその人を把握することができます。特に傾聴においてはその人が自覚している自分のイメージと周囲からみた解釈が異なることも少なくありません。人間関係からその人が普段周囲からどのように見られているかなどを知ることもできます。

5)リソース

その人が元気になったり、生活を改善するのに役立つものを把握しておくこともアセスメントにおいて非常に重要な要素です。性格的な強み、スキル、興味、周囲にいる人や組織の助けなどその内容は多岐に渡ります。

2.傾聴の役割

傾聴を使わなくても情報を聞き出すだけならば「面接」「アンケート」でも同じようなアセスメントは可能です。ただ、無機質な質問の仕方では出てこないその人の主観、独自の世界観、こだわり、思い、強みなどに基づくアセスメントはできません。学校などで問題が起きた時に傾聴ができなままアセスメントを進めてしまうと生徒を将棋の駒かのように並び変えるような対策を取ろうとすることにもなりかねません。生徒一人一人には心があり、相性があり、人間関係があります。そんなそれぞれの人間としての個性やこだわりを傾聴によって聞き出すことができていれば、より生徒の気持ちに沿った対策を打つことができます。アセスメントの質を「気持ち」の方向に掘り下げる時には傾聴のスキルが非常に役に立ちます。

 

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