パニック障害を克服したプロカウンセラーの「傾聴」とは

パニック障害を克服したプロカウンセラーの「傾聴」とは


工藤美都さん
日本心理療法協会認定カウンセラー。パニック障害を克服し椎名ストレスケア研究所にてカウンセリングスキルを主に学び、都内カウンセリングルーム勤務を経て「value creation room」カウンセリング ルームを開設。現在に至る。
カウンセリングルーム「value creation room」HP:http://vc-room.jp



岩村 剛
日本心理療法協会認定カウンセラー、オンライン傾聴講座講師。
禅の修行に取り組む傍らビジョントレーナー、カウンセラー、講師として活動している。
岩村剛HP:Rockvillage.site


1.パニック障害からの回復とカウンセラーになるまでの軌跡


岩村:工藤さんこんにちは!まずは工藤さんがカウンセラーを目指すことになったきっかけについて伺えます?

工藤:私、27才から33歳の時に付き合っていた人がいたんですけど、家柄の違いで結婚できる相手ではなかったのに、結婚したいから色々頑張っていたんですね。でもダメ出しをすごされて自分に自信を無くしてしまって、そのとき母親との確執も凄くて小さい時から虐待みたいな感じできてたし、父親も威圧的でモラハラみたいな感じで凄かったから家 の中がもう「怒り」の空間。外が安心・安全みたいな感じだから外で基地とか作って遊んでたりしたのね。母親からの暴力自体は小学校三年生くらいの時にはぱったり無くなったんだけど、「やっ ぱりこうでなければならない」みたいな縛りみたいなのがあって毎日怒られない日はなくっ て。怒られない日を数えるとたぶん風邪ひいて寝込んだときだけ。それ以外は全て怒られ 続けてという中で育ってきたの。

そこから「わーっ」て言われたら「わーっ」て言い返すようになったのが中学生くらいかな。時が経って27才で付き合った人がかなりのわがままだったから、家の中にいても外にいて も常に否定されるようになっちゃってもう爆発..。パニック障害になっちゃって。もう恐 怖心しかなくて布団かぶってしくしく泣いてずっと寝てるみたいな状態でした。それで家から出れなくなってしまって。きっかけはある時、車運転していた時に急に視界が狭まって脳の病気かもしれないからって思って自分で救急車呼んで。

よくわからない目眩とかもあって診断したら「何ともないから心療内科行ったほうが良いですよ」って言われて、自分でも調べてみたら「パニック障害みたいだな」って思って受診したらやっぱりそうで、そこから二年半くらい症状が出続けたんです。 で、どうにかしたくて渋谷のカウンセリングの学校通ったんですよ。家が神奈川県だった から渋谷まではかなり遠いから、パニック障害で急行乗れないから、乗っても電車から途中の駅で降りちゃうわけですよ。

最初は行けないから途中で断念して帰ってくる生活を繰 り返すうちに「これどうにかしたいんだけど、どうすればいいんだろう?」って考え始めて、それで音楽を聴いてみるとかしたんですが、音楽は合わなくて症状を抑えるまではい かなかったんですね。

それが1個の飴で良くなったんです。飴って五感全部使うから「あ、美味しいな」っていうのを感じたら症状がその間は出ないっていうことに気がついて。自分で発見したんですよね。「あ、じゃあ飴舐めればいいや!」って飴舐めて受講できるまでになって、でちょっ と自信になって。

「じゃあ次急行乗ってみよう」ってなって、急行も長い時間乗らなきゃいけないものから 短いものまであるから「短いのから乗れるようになろう」って、チャレンジしたら乗れたからまた自信になって。 急激に乗るとダメだから徐々に徐々に。だから途中まで急行。途中から急行とか。 そんな感じでパニック障害を克服していって、完全に乗れるようになったのは友達の言葉 だったんですね。

「迷惑かけちゃいけない」って親に怒られ続けてきたから人に迷惑かけちゃいけないって 思い続けてきたけど、友達が「でもさー、電車の中ってお医者さんとか看護士さんとかいるし、みんな優しいし助けてくれるから実は安心、安全かもね」って言われて「あ!実は 安心・安全かも!」って気づいて。 しかも私だったら困ってる人がいたら助けるから「助けてくれる人も絶対いるかも」って 思えたら「なんか全然大丈夫かも!」って思えてきて、そっから大丈夫なようになったん ですよね。

パニック障害になった時にその症状調べてって学校見つけて通ったんだけど、パニック障害にならなければカウンセラーって職業があることも知らないし、自分の過去の全てを「なかったことにする」のではなく、「活かしていきたいな」と思って。活かせるものは何かっ て考えた時にこの道かもしれないなあと思って。 20代の頃から「何か自分はやれるんじゃないか?」って思ってて、思ったこととかやりたい ことは全てやってきたから「やれないわけがない」って。

それで勉強して1校目はちょっと私には合わなかったんだけど、そこから半年くらいブランクがあってまた町田の講座に通い始めて、ここだったらカウンセリングってできるかもしれない!」ってすごい光が差し込 んできたのね。そこを卒業して都内にあるカウンセリングルームでバイトをやらせてもらったんだけど、 自分なりにやりたいことがたくさんあったから、だからそこでずっとお世話になるわけにはいかなくて「自分でやろう」って決めて、3ヶ月間だけバイトさせてもらったんですね。

中身ちょっとわかったから「自分でもやれるな」と思って。でその2ヶ月後にオープンさせたの。そのバイト先で学んだことは大きくて「カウンセリングルームってこういう風に やるんだ」とか、「こうやって集客すればいいんだ」とか。だからすぐやれたってところ ありますけどね。

 

2.どんなカウンセリングをしているのか?

岩村:今はどんなカウンセリングをしているのか教えてもらえます?

工藤:女性専門のカウンセリングですね。時間は今のところ60分と90分だけどもしかしたら変 えるかもしれない。初回込みで7回から10数回で卒業です。早い人は7回くらいで卒業し ていきますね。

岩村:女性以外の制限とかはあります?

あとは設けてないですね。女性であれば鬱でもパニック障害でも恋愛でも、何でも。最近 はサイトの紹介からか依存症とか恋愛の人が多いですね。

岩村:カウンセリングルーム立ち上げてからの苦労とか、これがあって良くなったなってことがあれば教えてもらえます?

工藤:最初の1ヶ月半はまるまる来なかったです。 HPが上位に来なかったから。SEO対策が時間かかったから、それまでの我慢ていうのが ありましたね。そうなるまではブログを毎日1年以上ずっと書いてましたね。自分の経験 してきたことなどをあげたりしてましたね。広告も出して。それで最初のクライエントさ んが来たときはすごい嬉しかったですね。

岩村:それは嬉しいですよね!その最初のカウンセリングの時はどんな感じだったんですか?

工藤:めっちゃドキドキして。とりあえず習ったことはすごい練習して自分なりにやってたから、それを「早く披露したい!」みたいになってて。でももともとカウンセリングルー ムでバイトやってたから慣れてはいたんですけど、自分のクライエントさんとなるとまたちょっと違うので。

岩村:自動車の「仮免許」から「本免許」みたいな?

工藤:そうそう!力入りますね!

岩村:カウンセリングの中で大切にしていることについて教えてもらえます?

工藤:大切にしているのは「共感」ですね。共感の言葉をどれだけ言えるかっていうとこ ろ。もう最初から最後まで共感づくし。「わかってもらえた」っていうところからカウンセラー自身を信じる気持ちが生まれてくるので。「あなたは実はすごかったんです」というようなことも言うし「そんな我慢なんて子供の頃にするって大変だし、難しいし、でも良く我慢しましたよね」と言うこととかもものすごく言います。

3.工藤さんにとっての「傾聴」とは?



岩村:工藤さんにとって「傾聴」ってどんなものです?

工藤:答えになっているかわからないですけど、カウンセリングの中ではかなりクライエ ントさんの話を聞きますね。クライエントさんの今の問題がどこからきているかというと 過去なので、「過去に何があったか」っていうのはかなり探ります。それこそ物心ついた ときからとか、お父さんお母さんはどうやって育てられたかとかも。

岩村:お父さん、お母さんが?

工藤:もしわからなかったらいいんだけど、話の流れで「お父さん、お母さんも同じよう なこととかにあってませんか?」とか、そこまで探ります。価値観て受け継がれるので、 ループになってしまうとどこかでストップしないといけないので「こうやって来られてるっ てことはここで(負の連鎖は)ストップですね」って。

岩村:クライエントさんにとってのミッションみたいな?

工藤:だいたいモラハラとかの人ってお父さんがモラハラとか、モラハラの人と結婚して るとかでその前の世代のおじいちゃんとかおばあちゃんの世代でもそういうことがあっ たとか、家庭環境をすごい聞きます。 それこそモラハラのご主人のお父さんお母さんのことを聞いたりとか、おじいちゃんおば あちゃんはとかにも繋がってくるんですけど。

でそういう心のカラクリみたいなものを自 分で話していて自分で悟るんですよ。 「あ、同じことしてる、私」って。勝手にわかってくれるんで、話が早いんです。「..てこ とはこのままいくとやばいぞ」になるので「私やっぱり変わりたい!幸せになりたい!」 という気持ちがどんどん出て来て、そうするともっとやる気になるし自分自身が変わろうとする。 半信半疑で来られるんですよ。

期待と不安を持ってここに来られるんですよね。それを確 実に「あ、この人に任せよう」って思ってくれるために1回目でも気づきや発見を得られるように話を聞いて2回目以降の期待値が上がるようにしていますね。

岩村:親のことにまで踏み込んで聴くってことを教えてもらったんですけど、その上で意識してることってあります?

工藤:家庭環境が原因だと思うけど決めつけない。決めつけずに、いろんなことがあった だろうし外でいきなりタイミング悪く友達がとか学校の先生がとか恋人がとかあるだろう から決めつけはしないけど何となくでもそうなんだろうなと見てあげることでお父さんお 母さんを恨むとかではなくて、家系を恨むとかではなくて、自分自身がそういう経験をし たからこそ「今度未来はどうなって生きていきたいか」っていうところまで考えてもらう ことがゴールなので、「恨む」というより実は「感謝」に変えてあげたいなっていうのは ありますね。

工藤さんにとってはカウンセリングの中でクライエントさんに「感謝」を感じてもらうための「傾聴」とも言えそうですね。プロカウンセラーとしてやっているからこそのお話など、さすがだなと感じながらお話伺わせていただきました。工藤さん、傾聴対談インタビューありがとうございました!

4件のコメント

  1. すごく為になるキーワードをたくさんいただきました。カウンセリングで大切な事は「共感」。「クライアント様の今の問題がどこからきているかというと過去」等、カウンセリングにおいて大切な事を色々と学ばせていただきました。一番印象に残ったのは「今度未来はどうなって生きたいか?がゴール」という言葉です。私の経験上「恨み」を「感謝」に変える事は並大抵の事ではありません。私はカウンセリングを受ける側ですが、カウンセリングを受ける側もキーワードをある程度抑えておくと、考えが少し纏まった状態でカウンセリングに臨めるかもしれないと思いました。

  2. この傾聴対談を読んで、工藤さんのパワーを感じた。
    「共感を大切にしている。最初から最後まで共感づくし。「わかってもらえた」っていうところからカウンセラー自身を信じる気持ちが生まれてくる」ここが、強く印象に残った。
    共感か・・・急に私あんまりポイントに感じてなかったかもと思ってしまった。話を聴く側でも、共感をあんまり強く意識してなかった。私が、勝手に「相手のことわかった」にしているがほとんどな気がしてきた。
    反対に、私が、周囲の人に、だいたい受け入れてくれている感じする、だいたいわかってもらえてる、だいたい満足と思うけれど、表面的なんだろうか・・・と考えちゃった。だいたい受け入れてもらっている、わかってもらえてるという感じは、日常生活送るのにすごく大切だけれど、よくよく考え、自分に問いかけてみる。私の独特の世界を理解できる人はいるか・・・、理解できそうな人いるかと考えると、誰もいないかも。みつかりそうかとも考えたが、どこにいけばいいのかねぇと思った。
    一人一人違う世界を理解するって、難しいんだな。表面的、思ったことをだいたいは、まあまあ大丈夫だろうけれど、本当に私の世界を理解してくれるかを考えると、難しいことだなと思った。
    とにかく、共感はこういうことなのかな。だから、すごく共感してもらったら、パワーになるし、そのカウンセラーに対しての特別感が半端ないのかな。
    「共感」をあれこれ考える機会をこの対談でもらった。どうもありがとうございます。

  3. 私も電車の中のエピソードが印象的でした。飴やちょっとした考え方の変化で、随分と症状にも変化があるものなんですね。

  4. 「それが1個の飴で良くなったんです。飴って五感全部使うから『あ、美味しいな』っていうのを感じたら症状がその間は出ないっていうことに気がついて。自分で発見したんですよね。」

    変なところに反応するようですが、飴を舐めることで、症状がその間は出ないということの発見はすごいなと!

    お話全般が、自分で積極的に切り開いていくという姿勢に溢れているようで、何かや誰かに頼らず自分の力でやっていくんだという強い気持ち・姿勢を感じました。

    その端的なエピソードとして、私は「飴」のところを印象的に感じました!^_^

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