聞き上手コミュニケーションは「孤独」をなくす

聞き上手コミュニケーションは「孤独」をなくす

聞き上手コミュニケーションは「孤独」をなくす

多くの人が上手に人と関わりたいと感じています。コミュニケーションが上手なほど私たちの人生や日常生活が豊かになるといっても過言ではありません。実際、私は心理カウンセラーとして色々な人の相談を受けていますが、

「大勢の人の中にいるのに孤独を感じる」
「さっきまでみんなといたのに何かさみしい」
「実は誰とも繋がっていないような気がする」

最近ではそんな孤独を訴える人が増えています。私たちはそんな孤独をなくす特効薬が「聞き上手」ではないかと考えています。

1.大勢の中の孤独

1)Tポイントカードありますか?

私の娘が小学校に入学した頃、一人でコンビニで買い物をしたいというので500円玉を一つ渡し、かなり遠くに離れて娘が一人でお菓子を選んでレジに行くのを見ていました。今までもレジだけをやらせてあげたりしたことはあるのですが、ゼロから買い物をする初めての経験でした。初夏の頃でしたので、娘は短パンにTシャツのような格好でただ500円玉を握りしめて、お菓子を持ってレジに行きました。

店員さんは娘の顔も見ずに「いらっしゃいませ」と言い、「ピッ」とお菓子をスキャンして、「Tポイントカードありますか?」と尋ねました。どうみても初めてのお使い。どうみても他に何も持っていない。どうみても小学生。娘はTポイントカードの意味がわからず、僕に助けを求めて振り返りました。なんだか悲しそうにも見えました。「店員さん、誰に言ったの???」娘はそう聞きました。自分に意味不明なことを言うはずがないからパパに言ったはずだと思ったようでした。

お客さんの中には「初めての買い物」の人もいれば「慣れていない人」「小学生」「Tポイントカードを知らない人」もいます。想定された「マニュアル上のお客様」という人物像に当てはまらない人からしてみたら、「誰に言ったの???」となってしまいます。

2)残り0.01%の人の孤独

うつ病の人や学校に行けない人、経済的に困窮している人、摂食障害の人などが苦手な時期があります。それはクリスマスやお正月です。町全体が「華やか」で「楽しそう」で「人と人とがつながっている」「おいしいものを食べる」「家族と過ごす」「飾り付けをする」でも、そんな気分にはどうしてもなれない人。パーティーもせずに働いている人。美味しいものを食べられない人。家族も友人も一人もいない人もいるのです。

99.9%の人は「そうだね!楽しいね!」と盛り上がれる話でもそうならない人は必ずいます。

そして、テーマを変えれば誰しもがそれに当てはまるのです。

「海外旅行が当たり前?」「高学歴が当たり前?」「カラオケ当たり前?」「結婚当たり前?」「仕事をしているのが当たり前?」「両親がいるのが当たり前?」「電車に乗れるのが当たり前?」「動物が好きなのが当たり前?」「五体満足が当たり前?」「お酒飲めるのが当たり前?」「親孝行が当たり前?」

当たり前が当たり前でなくなった時に人は孤立します。そして、孤独を感じます。

3)多数派の視点を押し付けられる

99.9%の人はそれが当然であるかのように話を進めるからです。「どのビールが美味しいか?」という話は「お酒が飲めない人」には参加できません。「お酒が飲めない」と伝えると場合によっては「一口なら大丈夫」と言われたり「人生の半分損しているよね」と言われたりします。「飲み会に来ること自体、意味ないよね」と言われることも。どれも飲める人の視点です。

理解しやすいように「お酒」の話にしましたが、強迫性障害の人が確認作業をやめられない。聴覚過敏の人が人が大勢いるところに近づけない。他にも実の両親を知らない。犯罪被害の記憶が抜けない。人にはいろいろな少数派の事情があります。社会が多様化すればするほど、マニュアル化すればするほどその前提に乗れない人は大勢の中で孤立していきます。

2.聞き上手がなぜ孤独を救うのか?

私たちは普段、99.9%の人がどう考えているのかはある程度わかっています。だからそれに合わせて行動します。自分が少数派だと思うと「理解されない」とあきらめてしまったり、迷惑をかけてしまったり、避難されたり、疎外されるように感じて素直に自分の状況を説明することができません。

1)聞き上手が聞きだせる思い

少しだけコミュニケーション上手な店員さんなら前述の500円玉を握りしめた娘を見て、「Tポイントカードもっていそうにないな」と気づいて、マニュアルを解除します。「お!自分で買いにきたの?」と聞かれるだけでこの買い物は最高の思い出になったかもしれません。

「そうだよ!初めて、500円のお小遣いをもらって、好きなお菓子を買いにきたんだ!」

ここまで聞き出せていたら前提が一致します。Tポイントカードを持っていない買い物初心者として対応しよう。「このお菓子はこっちに入れておくからね」「これはおつりだよ」「レシートは持って帰る?」と「ああ、自分に言っているんだ」と思える会話が続きます。

聞き上手ではない上司、親、友人は表面的な出来事や言葉だけを聞いて、相手をしっかり理解していません。そうなるとすべてのコミュニケーションがずれてしまい「誰に言っているの?」となってしまいます。

2)聞き上手だけの領域

実はコミュニケーションの深さは人によって様々です。TVで聞いた話題をただ繰り返しているような表面的な会話ばかりをしてきた人は自分自身の心の深い部分も他人の心の深い部分も覗き込んだことがありません。

ビジネスをやりすぎている人は人を概念に当てはめることは上手ですが、その人なりの曖昧な気持ちや理解しにくい葛藤などを察したり、理解するのが苦手です。

聞き下手さんはパック旅行

パック旅行では浅草の浅草寺を見て、スカイツリーに登り、国会議事堂を見て、皇居を見学して、料理を食べたら終わりかもしれません。その景色には東京に住んでいる人たちの暮らしやドラマ、思いはありません。お客様向けに作られた展示を見ているだけです。

聞き上手さんはショートステイ

数ヶ月の期間、東京に住んでいる人と生活を共にすると見えてくる景色が変わります。コンビニやスーパーが大事になったり、そうめんを食べたり、東京の人と喧嘩をしたり、人生観を語り合ったり、、、そんな風に生活に入り込んでくると視点が変わります。聞き上手さんはそんな視点で自分の心や相手の心を見ています。

心理カウンセラーを長くしていると実は多くの人がパック旅行のように人生を送っていることがわかります。自分自身の心の深い部分を見ることもなく、表面的に仕事を選び、表面的に作業をして、収入を得て表面的に調和をとって暮らしています。

聞き上手さんはその心の深い部分(心の闇、言葉にしにくい思い、葛藤、ダメな自分、憤り、虚しさ・・・)を丁寧に聞いていきます。そうするとその人の行動の根っこが見えてきます。

「虚しさ」が心の奥にある限りは生き生きと仕事をするのは難しそうだな、、、

といった具合です。聞き下手さんは「やる気がないなら辞めたら良い」「元気になるまで休んでいたら」のような関わり方になります。この前提で「辞め方」や「休み方」をいくら工夫されてもポイントがずれていることがわかります。

聞き上手さんはその背後にある「虚しさ」を聞けているので、辞めるとか休むという話ではないことがわかるのです。

3)私たちというコミュニケーション

我が社の税理士さんはたくさんの会社の顧問をしているのに私たちの会社のことを「我が社は」「私たちは」と呼んでくれます。社員ではないのですから、「おたくの会社は」「御社は」と呼んでも良さそうなものです。

でも、このコミュニケーションの違いは「孤独」の問題に似ています。

経営者や管理職、アルバイトに至るまでその会社のことを我が事のように理解して、「我が社」と呼んでくれたら会社の問題はその税理士さんを含めての「私たちの問題」となります。

そんな「我が社」と言ってくれる税理士さんは聞き上手です。顧客の会社を我が社と言えるくらいまでよく理解して、経営者や担当者、社員の言葉に耳を傾け、「私とあなた」という分離した関係ではなく「私たち」というポジションに入ってくれるのです。

皆さんの周りに「自分に対して、私たちという立場で関わってくれる人」がどれくらいいますか?

実は0人の人も多いのではないでしょうか?

 

3.聞き上手になる最大のメリット

聞き上手になると相手の描いている世界観を十分に理解することができます。

それは0人かもしれない「私たちという立場で関わってくれる人」になれることを意味しています。数少ない深く理解してくれている人。もし、私たちが聞き上手になって、多くの人の数少ない理解者になることができたら人生が変わると思いませんか?

そして、多くの人の心の深い部分をしっかりと理解していくことはたくさんの国や地域でショートステイを繰り返しているようなものです。体験し始めるとよくわかりますが、それこそが私たちの人生であり、パック旅行から早く目覚めないとお客様向けのこの世を味わっただけで人生が終わってしまうことに気づきます。

 

聞き上手になる最大のメリットはそこです。

日本中が「嫌われる勇気」という本を読んでいた時期に身近な大切な人の深い話をじっくり聞いていた人。日本中で「発達障害」という言葉が知られるようになり本をたくさん読んで講演会をたくさん受講した人たちがいる中で、自分の子供をじっくりと見つめてきた人。自分の子供の話を何日も何時間も聞き続けてきた人。これらは似ているようで全然違います。

聞き上手は自分自身の目の前の人を理解することができるので「嫌われる勇気」も「発達障害」も参考程度に知っていれば十分です。なぜなら、答えは目の前の人が教えてくれるからです。「発達障害」の本を読みながら、話しかけてくるお父さんやお母さんの言葉は「誰に言っているの?」と子どもには映ります。目の前の大切な人の言葉をしっかり聞けるからこそ、「あなたにいっている」という思いが伝わるのです。

 

 

9件のコメント

  1. 私はお店の新規のお客様、常連さんそれぞれに一言意識してお声かけしています。両手がふさがっている方にはドアをあけてさしあげるなど常にお店の状況をみて行動するようにしていますが、まわりのメンバーもそのような接客をする方も多くその結果お客様の笑顔や会話がうまれています。傾聴というと難しいかもしれませんが接客の基本は状況をみて相手の意向を聞く事も大切だと思っていたので、大勢の中の孤独の言葉がとても心にひびきました。

  2. なぁーなさん
    マニュアルって何のためにあるのかなぁって考えました たしかに、安心感もあるなぁ 一定以上の質を保つためにパターンが決めてあるという感じかな
    Tポイントカードのくだりも、おきまりのパターンがあるから、買う方もパターンや流れに乗って安心しているところもあるかな 例えば、外国に行って言葉が通じない中だと、マニュアル的なパターンがある方が間違えないし、それは、日本の中でも、イレギュラーが苦手な人にとってはいいことなのかなとも思います

    じゃあ、何が問題かというと、マニュアルの中に込められた大切にしたいことが忘れられて、カタチだけが独り歩きした場合かな
    マニュアルには本質があって、何を目指して作られたものなのかを理解した上で使えば、いいものになるかな そして、それを理解していれば、相手や状況によってマニュアル外の対応もできる
    アルバイトやパートの人がマニュアル通りとか思いがちだけど、管理者やまとめ役の人さえも本質を理解しないで指導をしたりしているかもしれない
    例えマニュアル通りでなくても、本質をとらえた行動であれば許可することもできて、より発展する気がするのに

    ここまで書いて、はっと思いました

    私は、子どもにかかわる仕事をしています
    その中で、「判断に迷う時は、子どもにとってどうかと考える」という言葉があります
    マニュアルや決まりの多い時代になったけれど、だからこそ、この言葉はとても意味のあることなのだと思う

    傾聴とは少し違うのかもしれないけれど、このマインドは傾聴に繋がるのだと思いました🌼

  3. たんぽぽちえさんへ

    「一人でも分かってくれる人がいるだけで、心が全く違いますね」
    おっしゃるとおり!その一人に出会えた時の心の震えがその後の人生を支えてくれますよね!

    「理解しようとする、知りたいって思える人でありたいですね」
    正に正に!!

    ありがとうございます!^_^

  4. かずさんへ
    数少ない理解者になるべく 誰もわかってくれない、誰も知らないは辛いけど、一人でも分かってくれる人がいるだけで、心が全く違いますね
    理解しようとする、知りたいって思える人でありたいですね🌼

  5. 読んで私が、感じたことは、
    ここででてくる『Tポイントカードありますか?』に、私は店員さん、会社員、大人も子供も、何が正しいなんてわからないのに、正しいやりとりが決められや正しいとされるマニュアルぽいのがあり、心と行動が制限されてる世の中や会社や学校になってるのを感じる。『おもちゃかして』『いいよ』と嫌でも言うことが、正しいと子供の頃に、世の中での生き方みたいに学び、育ってゆくように。
    私の感じることを表現するのがいいとされる世の中にならないと、心の奥まで、マニュアル的になるんだろうなと。
    マニュアルぽいのは、私は、楽なとこもあると思って好きなとこもあるんだ。みんな違う世界観で生きてるので、マニュアルぽいのは、楽だし、安心感がある。あたりまえぽさあることの安心感って感じかな。
    あと、相手が、マニュアルな対応や言葉でも、それに返す私の言葉がマニュアル的じゃないと、コミュニケーションが変わることが多いと思うので、うまく、使いたいときに、観察上手、聞き上手になると、心が動いて楽しくなるといいな。使いたい時、使うべき時にできるのって、いいな。沢山の国でショートスティしてるみたいは、私も味わいたい世界だな。
    『日常じゃーにー』みたいな日々になるため、ちょっと模索している私です😊
    きっとゴールはないんだろうな。。そんな私になれればいいな😊

    このサイトの内容、コメントできることは、とってもいい刺激になってます。いつもどうもありがとうございます☺️

  6. とかく頭でっかちで、目の前の人を理解するために、その人がどんな人か?経歴は?と若い頃よりやってきた自分が恥ずかしくなります。

    「聞き上手は自分自身の目の前の人を理解することができる」「目の前の大切な人の言葉をしっかり聞けるからこそ『あなたにいっている』という思いが伝わるのです」
    本当にそうですよね。自分が聞いてもらう立場だったら、そんなことは嫌というほど経験してきて満たされない想いを抱えたりするのに、ついつい自分が聴く立場の時には、その基本姿勢を忘れそうになってしまう瞬間があります。

    多くの人の数少ない理解者になるべく、ショートステイで旅するような聞き上手になって、自分の人生をもっと実りある深いものにしていきたいです!^_^

  7. 「孤独」 単に数が1ということではなく、寂しさ、不安、絶望といった感情に覆われた言葉のように感じます

    私は、人は、自分だけ一人ぼっちと感じた時に、簡単に心が壊れていくように思います 誰かを潰そうと思えば、その人を一人ぼっちにすることだとも思います 私自身、そんな経験をし、そして、その中で救ってもらった経験もしました

    聞き上手 いいですね 私を救ってくれた人も、わたしの話をちゃんと聞いてくれました

    わたしも、聞き上手になりたいと思うのと同時に、もし、上手に話が聞けないなら、「一緒にやろう」と声をかけられる人になりたいと思います

    「一緒にやろう」の中には、その人のやりたいことを知り、受け止め、未来に進むという傾聴と同じ道筋があるように思います
    また、記事にもある「私たち」の感覚もあります 「私たち」の関係ができれば、向かい合って話さなくても、一緒に何かしながら、大切な気持ちを話してくれるかもしれません

    上手に傾聴できたらそれに越したことはないけれど、「一緒にやろう」と言ってみることもいいのかなと

    そして、このオンライン傾聴講座は、決して「傾聴」の技術を伝える場ではなく、誰も見捨てない、「孤独」にしない というあり方を伝えたいという場なのかなと思っています🌼

  8. 私のことを聴いてくれる人がいて、しかも完全では無いにせよ、自分のことを理解しようという姿勢で接してくれた、あるいは自分に関わりを持とうとしてくれる、そういう出会いに暖かいものを感じることがあります。不思議なもので、その気持ちが傾聴する側にも伝わってくることすらあります。結果的に傾聴の姿勢が自分を癒す事がありました。ひとはひとにいやされますね。

  9. 継続は力なりだと
    思うので
    また傾聴講座の講習受け行きます

    お友達もたくさんでき
    とても素敵な講座です

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