10)身体的同調

10 )身体的同調

本格的な傾聴を始める前に話し手と聴き手の信頼関係(ラポール)を深めておく必要があります。初対面の他人のような関係性やケンカをしているような関係性では傾聴ができないからです。

ラポールの度合いを深めていく時に身体の動きがどのように同調しているか?(身体的同調)が一つの目安になります。


1.ミラーリング

話し手の仕草が鏡に映っているように真似することをミラーリングと呼びます。ただ単純に真似をするだけだと不自然な感じになってしまいますが、ラポールの基本としてミラーリングを練習することは役に立ちます。

実家に帰省した時に息子と娘と夫が三人とも同じ姿勢で寝ているのを見て、「ああ、仲が良いんだな」と感じたことがありました。仲が良いと無意識にする仕草やポーズが同じになっちゃうことってありますよね。(40代 主婦)

1)うなずきのリズム

身体的同調をしても不自然になりにくいポイントの一つがうなずきのリズムです。話し手は多くの場合、話をしながら一定のリズムで揺れています。聴き手はそれを観察しつつ、小さくリズムだけあわせて揺れるようにうなずきます。小さな揺れ程度のミラーリングはノイズになりにくいので初心者でもやりやすいです。

 

2)姿勢

「動き」についてミラーリングをすると話し手に気づかれたり、煩わしいと思われてしまうので、姿勢を真似します。向かい合って座っていたとしたら、話し手が右に傾いたら、聴き手も左に傾いて話を聴きます。話し手が前のめりになってきたら少し前方向に近づきましょう。このように姿勢の同調を図ることでラポールを深めることができます。

 

3)呼吸

やや高度ですが、ベテランのカウンセラーが確実に使っているのが呼吸の同調です。呼吸のリズムは会話や仕草のリズムのベースになっていますから、呼吸が同調してしまえば、かなり深いレベルで身体的同調によるラポールが成立します。呼吸を観察するコツは「傾聴講座(応用編)」などでご紹介します。

 


2.世界観を真似する

初心者向けの身体的同調はミラーリングだとお話ししましたが、実際にはおかしなわざとらしい同調をしている人が少なくありません。

いつもいる部屋の右手に窓があるので、窓の方をなんとなく指差して話をしていたら、カウンセラーさんも同じ方向を指差し始めました。話の文脈からして、ただ指差している姿を発見して真似しているように見えました。正直、そんな気が散っている暇があるならもっとしっかり聞いて欲しいと感じました。(50代 会社役員)

1)視線による身体的同調

話し手が「庭」や「犬」や「時計」「木」などをイメージしながら話をしている時によく手が動きます。その手の動きの意味をわからずにただ真似をしていてもラポールは深まりません。ラポールを深めるためには仕草を真似るのではなく、世界観を真似する必要があります。話し手が「木」をイメージして右斜め上を示したが、聴き手は手を動かすのではなく、その方向にあるはずの「木」を見上げれば良いのです。視線による身体的同調はスマートで気づかれにくいので身振りを真似する練習がある程度できたら、身振りではなく、視線で受けるようにすると上達が早いです。

傾聴の後半、僕が描いていたハワイのビーチを完全に把握してくれていたことが仕草からわかりました。僕の後ろに海があり、聴いてくれている人の後ろには町がありました。「早く泳ぎたいですね」と私の後ろにある海を指差したり、「買い物ですか?」と聴き手の人が自分の後ろの方をちらりと見てくれたので、本当にハワイのビーチにいるようでした。聴き手の演技力によって臨場感が全く違うことを痛感しました。(30代 会社員)

 

2)身体的同調の逆流

身体的同調はラポールが成立してくるとどちらがどちらに合わせているかわからなくなります。次第に自然に身体的同調が起こるようになるからです。聴き手は自分があわせて、身体的同調をしている状態から話し手が無意識に聴き手の何かに合わせるようになる境目に気がつくようにしてください。「あ、身体的同調が逆流したな(話し手が聴き手に合わせたな)」と判断できたらラポールは十分だと考えられます。

 

▼「身体的同調」まとめ▲

ここでは「身体的同調」についてご紹介しました。

  • ミラーリング
  • うなずきのリズ
  • 姿勢
  • 呼吸
  • 世界観を合わせる
  • 視線による身体的同調
  • 身体的同調の逆流

傾聴とは「話し手の主観的な世界観と気持ちを理解しチカラに変える事」です。

ページ下にあるコメント欄に「感想」や「質問」をお寄せください。
「オンライン傾聴講座」は皆さんとの交流によって作られています。よろしくお願いします。

 


「11.言語的同調」も読んでみてください

人は同じ言語を話す人を仲間とみなす傾向があります。業界用語、専門用語、若者言葉などが通じる人同士は言語的同調が起きやすく、仲間意識も強くなる傾向にあります。話し手が「嫌になっちゃうわ!」と言っているのに「確かにおっしゃる通りですね」と返していたのではラポールは深まっていきません。「ですよね〜」くらいの返し方の方が同じ世界観を共有できている雰囲気が出ます。さらにオノマトペと呼ばれる言葉が同調し始めるとどちらがどの言葉を先に発したかわからなくなります。言語的同調が起きるまでラポールが深められたらそれほどチカラを使わなくても傾聴できるようになります。次回はその「言語的同調」を学びます。

11件のコメント

  1. 面白い気づきですね。身体的同調を意識して色々なものを見ると、いつもと違った風景になりそうです😁
    また、教えてください‼️

  2. このサイト読みながら、ニュース見ている。
    おー‼️‼️ニュース読む人、天気のお姉さんも、話をしながら、リズム取っている。みんな違うリズムだ😮😮😮
    チャンネルを変えながら、姿勢を見てみる。体の傾きも、力の入り具合、雰囲気が違うもんだ。
    今まで、気にしてなかったなー。
    たかがテレビで気づきがあるもんだ😮😳😳😳
    同じリズム、姿勢の傾きをやってみうと思った💕

    1. なぁーなさん
      ほんとに! テレビは身近で無料の教材📚
      ちょうど精神疾患の人と治療者のやりとりが放送されていました どうだろう 私はこのやりとりに科学的な裏付けは感じたけど、あたたかさを感じなかったなぁ うつむいて自信なさそうな患者さんと、きっぱりした治療者 同調しているのかな? 治るのかな?
      意地悪な見方をしたのかもしれないし、切り取られた一部の情報だけど、同調のシーンが見受けられなかったのが、あたたかさを感じなかった理由かもしれないな
      ほんとに一部情報切り取っての感想です ごめんなさい🙏 テレビで放送されなかった繋がりがあることを願うばかりです🌼

  3. 身体的同調を頭の片隅に置いて生活していたら、親しい友人が私につられてコーヒーを飲むことに気づきました。なんだかとてもうれしかったです。😊

  4. 実は大抵の人はできているんです。という事務局さんのコメント。
    赤ちゃんとお母さんは、身体の動きや感覚でコミュニケーションしてますよね。かかわる中で自然と同じリズムになるそうです。
    まだ、言葉を使わないから、それが一番大切なコミュニケーション。
    本来、人間がもっている能力のように思います。
    大人になると、言葉を使うようになるから、分かりづらくなるのかもしれませんね。大人は、言葉に頼り過ぎているのかもしれないなあと思います。
    言葉はないけれど通じ合える。そんな素敵なすてきな世界に浸るのもいいのかもしれないなぁ。

  5. 人と対話する上で姿勢とか視線が大事なのは経験上理解していたのですが、ベテランのカウンセラーが確実に使っているのが呼吸の同調と言う事を知り、そこまで意識しているのかと驚嘆しました。
    あと、身体的同調の逆流とはどういうことだろうと文字だけを見ていても理解ができなかったのですが、
    説明を読み信頼関係というのは実に様々な面で感じる事ができるのだなと、これもまた驚きでした。

    1. 呼吸の同調を読んだときには私もびっくりしました。最近、話し手の肩の辺りをきにするようになりました笑

      身体同調の逆流とは、
      はじめは自分が相手のしぐさに合わせていたのに、いつの間にか相手が私と同じしぐさをしてしまうことだと思います。
      職業上、子どもと関わっているのですが、はじめは私が若者の流行言葉とか、流行のものを真似しているのに、いつのまにか子どもが私の口ぐせを使っていたりすることなのかなー
      と思いました。

  6. ブログ読んで、身体的同調も奥が深いと思った。『身体的同調の逆流』そこまで、考えたことなかった。でも、普段のコミュニケーションもそうなってると思った。相手が緊張してると、自分も緊張しはじめて、緊張したやりとりになるとか、その逆もそうなのかな。

    『身体的同調』をするということは、私はこうなんだとなってちゃできないね。明るく話すのがいい、礼儀正しくとか自分が持つ自分のイメージ、いいと思うコミュニケーションをしがちだけど、そういうことを手放すということなんだろうな。だから、『身体的同調』をすると相手によって、相手の状態によって変わるから 、まるで別人なんてこともあるんだろうな😃女優みたい。
    想像したら、笑ってしまう😆

  7. なんか、このブログを拝見していて、身体的同調なんだけれども、
    相手との世界観の共有と明確化なような気がしてきました。

  8. 身体的同調の逆流!
    これできるようになりたいです!!

    1. Author

      これができたらコミュニケーションはかなりうまくいきますよ!
      でも、実は大抵の人はできているんです。意識できていないだけで^^

こちらから「感想」や「質問」をどうぞ!