LGBTの種類と人の心

LGBTの種類と人の心

LGBTという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字をそれぞれとった性的マイノリティの総称です。カウンセリングをしていたり、高校を経営していてもLGBTの人たちとよくあいます。一方で傾聴をしている相手がLGBTだったとしても傾聴のやり方、理解の仕方は全く変わりません。いつものように誠実に向き合っていれば、LGBTに関して話題になり、教えてもらえます。

1.LGBTという線の引き方

交通事故被害者、震災被災者、うつ病患者・・・マイノリティーだったり、理解されないで苦しんでいる人はたくさんいます。心理カウンセラーとして、それぞれの立場の人の苦悩や生きにくさに日々ふれているのでそれらが辛くないとは思いません。理解してほしいという気持ちもわかります。

自分自身が該当していないマイノリティーの以下の欄を読んでみてください。

1)LGBTの場合

LGBTには18種類ともそれ以上ともいわれる分類があります。

  • レズビアン(女性の同性愛者)
  • ゲイ(男性の同性愛者)
  • バイロマンティック(2つ以上の性別を精神的に好きになる)
  • バイセクシャル(2つ以上の性別を肉体的に好きになる)
  • トランスセクシャル(手術をして性別を変えたい)
  • トランスジェンダー(違和感はあるが手術しない)
  • トランスヴェスタイト(異性の服を着る)
  • Xジェンダー(男性女性以外と性別を捉えている)
  • クエスチョニング(性別がわからない・決めない)
  • アンドロセクシャル(男らしさに惹かれる)
  • ジノセクシャル(女らしさに惹かれる)
  • パンセクシャル(全ての性別の人に肉体的に惹かれる)
  • パンロマンティック(全ての性別の人に精神的に惹かれる)
  • アセクシャル(肉体的に好きになる人がいない)
  • アロマンティック(精神的に好きになる人がいない)
  • デミセクシャル(強く結ばれた人しか性的欲求が向かない)
  • デミロマンティック(強く結ばれた人しか精神的欲求が向かない)
  • リスロマンティック(好きになることはあってもつきあおうと思わない)
  • ポリセクシャル(同時に複数の人を好きになる)

出典「http://lgbt-navi.com/lgbt_matome/

2)パーソナリティ障害の場合

パーソナリティ障害とは一般の人と比べて偏った考え方や行動パターンを持った人で生活や仕事などに支障がある状態を指します。そして、10種類あります。

  • 猜疑型パーソナリティ障害
  • ジゾイドパーソナリティ障害
  • 統合失調型パーソナリティ障害
  • 反社会性パーソナリティ障害
  • 境界性パーソナリティ障害
  • 演技性パーソナリティ障害
  • 自己愛性パーソナリティ障害
  • 回避性パーソナリティ障害
  • 依存性パーソナリティ障害
  • 強迫性パーソナリティ障害

出典「https://h-navi.jp/column/article/35026358

3)被災者の分類

同様に被災者にも分類があります。

  • 一次被災者(直接的に被災した人)
  • 近接被災者(被災の結果によって被害を受けた人)
  • 周辺被災者(被災地や被災者と強い関係があって被害を受けた人)
  • 進入被災者(災害後に救助などで集まってきた人)
  • 五次被災者(テレビなどで不快な思いをした人)
  • 六次被災者(災害の発生などに関与してしまった人)

出典「http://wpedia.mobile.goo.ne.jp/wiki/%94%ED%8D%D0%8E%D2/1/

4)当事者以外の視点

当事者は概して、「LGBTを知らないのはいけない」「パーソナリティ障害を知らないのはいけない」のように主張します。一方で当事者以外の人から見たら、職業の分類分けから食べ物の嗜好、アレルギーなどさまざまな分類がある中でそれを全て理解することができるのかという問題にぶつかります。愛情があってもそれぞれのマイノリティが「10種類あります」「18種類です!」と主張していたら、覚えることができません。

5)人を見る気持ち

目の前にいる大切な人をしっかり理解できたら、LGBTとアレルギーに該当する項目があるかもしれません。それはLGBTの知識を完璧に持っていたから理解できたのでしょうか?その人を理解したいという気持ちがスタートのはずです。

私がこの賛否両論があるだろうと思われるテーマを記事にしているのは「人は定義を与えられると詳細を理解しようしない」という習性があることを危惧するからです。

つまり、「太郎君はどんな性格かな?どんな特徴があるのかな?どんなセリフをいうかな?どんな発想をするのかな?」そう思っている間はどんどん太郎君のことが理解できます。しかし、「太郎君はG(ゲイ)なんだよ」と定義を与えてしまうとLGBTの本やサイトを読み、G(ゲイ)について理解しようとします。その結果として理解された太郎君は「本に書いてあるG(ゲイ)の解説」であり、太郎君そのものではありません。

  • 夢があるゲイと夢がないゲイは同じでしょうか?
  • 旅行が好きなゲイと解剖学が好きなゲイは同じでしょうか?
  • 言葉遣いが乱暴なゲイと上品なゲイは同じでしょうか?

「太郎君はG(ゲイ)なんだよ」という定義が太郎君の夢や嗜好や話し方を見えなくさせ、とらえやすい定義された概念ばかりに偏ってしまう危険性があります。大事なのはその人を見ることです。

これはLGBTに限ったことではありません。「私はうつ病で」「息子は発達障害で」と定義をするのは良いですが、それと同じぐらい「息子には夢があって」「息子の好きなものは」「息子の口癖は、、」という話をしているでしょうか?

6)定義をするから差別される

自分が該当していないマイノリティーを外から見てください。

「18種類知っていないといけない」のようなニュアンスにはある種の息苦しさを感じます。責められている。勉強が足りないと怒られているような感じすらあります。

そして、LGBTが細分化されていくのはLGBTの中でも「私はあれとは定義が違う!理解してほしい!」と感じる人が多いからではないでしょうか?つまり、当事者同士でも実はしっくりきていないのではないかと感じることがよくあります。

今回はLGBTをキーワードに話を組み立ててきましたが、難解な定義を作り出して理解を求めれば、そこに煩わしさや責められている感じが生まれ、LGBTには近づかないようにしようという意識すら働きかねません。それは自分が当事者ではない団体の主張を聞いていればよくわかるはずです。当事者ではない星の数ほどある問題、テーマを全て理解することは不可能に近いのです。

ちなみに「宗教」「思想信条」「人種」などの問題も同じです。仏教やキリスト教の全ての団体の違いを理解し、「父がクリスチャンで母が仏教徒の場合・・・」とやり始めたらきりがありません。

人は知的になればなるほど自分と異なる人を受け入れることができなくなっていきます。定義をして「嫌だけれど理解しなくてはいけない」という気持ちにさせることが実は「無理解」が生み出している差別にも匹敵する差別を生み出しています。大事なことは知的ではなく、心情的に自分と異なる人を理解して協調しようというあり方ではないでしょうか?

 

2.全人類を理解する簡単な方法

性別の問題が18通りだとして、宗教(※)、職業、アレルギー、出身地、生まれた時代、家族構成、資格、学歴、趣味、、、それぞれの組み合わせを掛け算すると途方もない数字になります。

それをあらかじめ学んで、的確に当てはめることは不可能に近いです。

でも、我々が海外で暮らしたり、新しい職業を始めたりする時に「LGBT18種類」のような学び方をするでしょうか?出会う人のことをじっくり聞いて、関わって、その人の考え方、価値観や生活している社会的な背景などを謙虚に知ろうと試みませんか?

学歴=東京大学卒

と把握できてもどんな生活をしていたのかはわかりません。

動物アレルギー

と知ってもそれがその人にとって重要なキーワードなのかどうかもわかりません。

1)用心深く知ろうとする

異文化に行けば「頭を撫でてはいけない」「挨拶の作法が違う」「年長者への関わり方が違う」「知らない間に誰かを否定してしまうかもしれない」そんな用心深さが働きます。

よく観察をしながらその文化の人たちの価値観や好み、加減を知り、馴染んでいきます。傾聴はまさにそれです。自分が「男性」「女性」の2つに分けられる世界観を持っているからといって、相手がそう思っているとは限りません。自分が「犬」が好きだからといって、相手にアレルギーがないとも限りません。

自分と同じと決めつけない。
自分にとって空気のような部分がそうではない人がいることを用心することが傾聴の基本です。

性別の種類×職業の種類×宗教の種類×出身地×年代×・・・・と途方もない勉強を進めていくのは学者さんや専門家の仕事です。上記の掛け算の積(答)が70億を超えるとしたら、全人類を理解するには70億通りの組み合わせを理解しなくてはなりません。それはひとりひとりを理解することとイコールになってしまいます。

2)知的な理解は目を曇らせる

知的に理解したものに対して私たちはそれ以上の洞察ができない傾向にあります。「知っているから大丈夫」という思いが危険なのです。これからみなさんが傾聴をしていて、「うつ病の人」「発達障害の人」「認知症の人」「被災者」「LGBTの人」のようなラベルを貼られた人が来るかもしれませんが、ラベルはその人を表す何万もの要素のひとつに過ぎません。

「私はうつ病なんです」と言われたら、「うつ病という部分があるんだな」と理解した上で、それに固執しすぎずに

  • 「どんな小学生だったのかな?」
  • 「食べ物の好き嫌いはあるのかな?」
  • 「旅行は好きかな?」
  • 「歴史は好きかな?」
  • 「テレビを見るかな?何が好きかな?」
  • 「カラオケでは何を歌うのかな?」
  • 「土いじりは好きかな?」
  • 「赤を見たら何を連想するだろう?」
  • 「ゆっくり話したほうが話しやすいかな?」
  • 「コンプレックスはあるかな?」
  • 「何か武勇伝を持っていたりしないかな?」
  • 「どんなことにこだわる人なんだろう?」
  • 「どんなことでこの人は怒るんだろう?」

とその人自身を理解しようとしていくとおのずとそれらの話題の共通点の部分に「その人」の姿が見えてきます。「深い傾聴を通して、ひとりを理解しきること」これは表面的なラベルをペタペタと貼るのと全く逆のアプローチです。

3)傾聴を学ぶ人へ

「LGBT」「うつ病」「発達障害」「被災者」の詳細の分類や情報を全く知らなくてもその人を理解することはできます。その人の心の動きや反応、世界観を理解していけばおのずと「同じ性別の人が好きでそれを理解されずに落ち込むことが多く、最近では家でふさぎこんでいる」のようなエピソードがでてきます。あえて言葉を当てはめるなら「LGBTとうつ病」の傾向があるのかもしれませんが、そのように言葉を当てはめることに意味はありません。

「太郎さんは同じ性別の人が好きでそれを理解されずに落ち込むことが多く、最近では家でふさぎこんでいる」と理解をしていけば良いのです。そして「どんな人を好きになったか?」「嬉しいことつらいことはどんなことだったか?」「どんな風にふさぎこんでいるか?」と詳しく傾聴をしていくとどうでしょうか?LGBTやうつ病の本には書かれていないことがでてきます。(当たり前ですが)

「どんな人を好きになったか?」の傾向として、「暴力的な人を好きになってしまう」という傾向があったとします。それはそれで太郎さんの特徴です。その傾向にLGBTやうつ病のような名前をつけるなら何と呼べば良いのでしょう?ネーミングのセンスがないですが「暴力好き」という分類があったとして、それには「精神的なもの」と「肉体的なもの」それから「その両方」があります、、、と分類していくことに意味があるでしょうか?それよりも太郎さんがどんな人(できれば個人名を聞けるくらいリアルに)を好きになったか?どんなやりとりがあったか?を聴けば十分ではないでしょうか?

傾聴とは何かの分類を理解してそれを当てはめることではなく、その人自身を理解することにあります。参考程度に用語や定義を知ることは理解を深める意味で役に立ちますが、原則はその人自身を理解することです。

 

3.まとめ

傾聴は目の前の人がどんな分類の人であっても理解する力です。

用心深さを養う意味ではLGBTや被災者などの分類を理解してみることも役に立ちます。「自分自身が当たり前と思っていた分類が当てはまらない人がいる」この気づきが私たちを用心深くさせてくれるからです。そして、その用心深さが夫婦関係や親子関係にも必要だということに気づくようになると傾聴の基礎がマスターできているといえます。

まったく理解が及ばないほどの自分と異なる立場の人を理解するプロセスを全ての人に適用できるようになると傾聴がうまくいきます。そんな用心深さを傾聴にうまく取り入れてみてほしいなと思います。

 

16件のコメント

  1. 傾聴という言葉は以前から知っていたのですが、最近、環境や心境の変化があって、是非とも勉強したいと思いました。

    1. 傾聴を勉強されたいんですね!
      とても嬉しいです。
      良かったら無料のメルマガもありますので読んでみて下さい。
      https://shinri.online/?page_id=2286

  2. 勉強になりました。ありがとうございます。

    マッチポンプのからくりの中に、気付かぬふりをしてでも居場所を求めてしまうのは、時代の流れの中で個人主義を誇張し過ぎてしまったからかな、と思います。人を表面的に細かく振り分けることによって、1-6)にあるように差別が生まれる反面、大部分の人が、どこかに属していたい気持ちを満たせるから…

  3. その人自身を理解することは、難しい。
    難しい、ひとり一人違う世界を理解するって、やっぱり、人が好き、人が面白い、その人を知りたい、理解したいという気持ちないと続かないだろうな。

    分類でわけるほうに人間いきやすいところあるから、楽しめる気持ち、やりたいという気持ち、信念、覚悟がないと続かないだろうな。
    そんな気持ち育てるには、相手の人とのコラボレーションの結果、効果味わうこと、認識することなんだろうな☺️
    わかったとなっても、すぐわからないになる世界だねえ。

    1. そうかも わかったとなった時点で、わかったつもりが始まるのかもしれないなぁと思いました もっと知りたい、わかりたいというきもちが、その人への関心であり、傾聴につながるように思います わたしも、あなたのことはもうわかりましたよと言われても嬉しいかと言われると、そうでもない気もする それより、わかる気もするけど、もっと知りたいから教えてと、ずっと関心をもってもらう方が嬉しいなあ😊

    2. Author

      私は「たんぽぽ ちえ」さんも「なぁーな」さんも知り合いなのでよくわかりますが、住む場所も職業も全く違うお二人がこうしてやり取りをして、分かち合っている様子がとても嬉しいですね〜

    3. 私も、コメントのやりとりで、たんぽぽ ちえさんと仲良くなった気分でいます。
      うれしいな❤️
      これからもよろしくお願いします😃💕

    4. 嬉しいって言ってもらって嬉しいです 私にとっては、なぁーなさんの感性に刺激されて、自分の感性も動いて、記事がより深みのあるものになる感じです! お返事あるの嬉しいし😊

    5. こちらこそ〜💕

  4. ESさん、私も本当にそう思います。私もそんなふうに分類されるのはいやです。
    人が悩んだり苦しんだりするような言葉をこれ以上つくるのはやめてほしいと思います。

    私も、その人がどんな人で、何が好きで、何が嫌いで‥その人自身に興味をもって理解したいと思います。

    1. Author

      「苦しむ言葉を作らないで」
      その思いはこのサイトに来ている方には共通するかもしれませんね。
      これがマーケティングの世界になると依存性が出る言葉を生み出すのが勝負になります。「未病」「逆流性・・」「◯◯肌」といって該当者(傷つく人)を生み出して、解決策(薬やサプリ)を売るのです。いわゆるマッチポンプですね。もっと人の気持ちをわかる社会になるようにしていきたいですね。
      東京はスマホをやりながらお年寄りを押しのけても良い社会になりつつあります。でも、地方に講演に行くと挨拶をしてくれたり、ゆずってくれたり、人の優しさを感じます。東京のように日本がならないように願っています。

  5. 記事読みました
    ○○病だとか、仮に
    本当にそんな診断ついたとしても
    診断とかよりもその人がどんな人か?を
    みてあげたいです

    1. 「わたし」が、診断名の影に隠れてしまうのは、かなしいなあと思います

    2. Author

      「わたし」よりも大事なその人を表す言葉が現れると人はおかしくなりますね。
      「うつ病患者」「不登校児」「ママ」「先生」「大臣」「社長」「東大生」
      どれもその人のことなんかほとんどあらわしていないのにわかった気になってしまうのは怖いです。

    3. 私は、自閉症といわれる子どもたちとかかわることが多くありました 当然、好きなことも、喜ぶことも一人一人違います でも、例えば、コミュニケーションに苦手さがあるんだというような情報は、より早く仲よくなるために役立つこともありました
      でも、苦手かもしれないコミュニケーションも、そのお子さんに必要なことで、信頼関係ができている相手となら、ちゃんと伝えてくれます
      あるお子さんは、焼きそば大好き 自分で焼きそばを作ってお客さんに食べてもらおうとしたとき、紅ショウガがないことに気づきました そのとき、彼は、遠くから、「紅ショウガ」と書いたカードを私に見せて、一生懸命に伝えようとしてくれました 私は、あ!と言って走って紅ショウガを取りに行きました たったそれだけですが、いつまでも思い出に残る瞬間です これは、自閉症の子がカードで自分の気持ちを伝えたというできごとではなく、コミュニケーションが苦手だけど焼きそばの好きなK君が、分かってくれるかもしれない私に、なんとかして伝えようとしてくれたできごとだったからのように思います
      今思い出しでも、あったかい気持ちになります 😊

    4. 先程のコメント 読み直したら、ちょっとわかりづらかったので 追加です 自閉症の方には、コミュニケーションの苦手さがあるという前提で書いてます
      その苦手さを理解することが援助につながることもあると思っています でも、その苦手さに隠れてしまいそうになりながらも、ステキなコミュニケーションが存在するんだと思うのです

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