保育における傾聴は五感を使う

保育の現場で子どもの気持ちを知ろうとした時に傾聴のノウハウはとてもよくに役立ちます。しかし、傾聴=話を聴くことだと思っているとうまくいかないかもしれません。

保育における傾聴は五感を使う

傾聴をする人の多くが勘違いしているのが、話し手の頭の中に完成されている「エピソード」や「想い」を聞き出すのが傾聴だという世界観です。これは完全に誤りです。

1.完成品のエピソードはない

プレゼンテーションに慣れた人が流暢に何かを説明するように完成されたエピソードが話し手の頭の中にあるわけではなく、傾聴のやり取りの中で少しずつイメージが固まったり、ひらめいて、言葉になっていきます。つまり、傾聴の途中で断片的に出てきているイメージや言葉、気持ちを語るのが傾聴です。

これが保育になるとより不明確になります。彼らは言語化することは得意ではありませんし、まして、話の流れや構成を考えることはできません。断片的な単語や感情を言葉にするだけです。もし「さみしい」という言葉を言ったとしても10分後、さみしい感情を一貫して持ち続けているかは疑問です。大人以上にその感情やエピソードは流れていってしまいます。

だからこそ、「聞き出せるかどうか?」のような考え方は危険です。

保育における傾聴は一緒に作り上げられるかどうか?一緒に探せるかどうか?というニュアンスで進めていきます。完成品の提出を迫るのではなく、一緒にピースを集めて意味のある形を見出すのです。

 

2.保育での傾聴は五感を使う

一般的な傾聴でもそうですが、保育における傾聴は言語化されたものだけを追いかけてもうまくいきません。表情や仕草、声の出し方、文脈などを総動員して傾聴を行います。特に保育においては日常の観察が重要です。普段どれくらいの運動量の子どもなのか?どれくらい言葉を発するのか?我慢してしまう方なのか?一人で遊ぶタイプか?細かいことを気にするタイプか?あいさつの声の大きさはどれくらいか?その基準を知ることから始めます。個人差に紛れて、その子の異変やメッセージに気づくことができないからです。

その子の普段の声の大きさや仕草、動きの基準に照らして、おかしな動きを察知したらそこから傾聴が始まります。その差はなんだろう?何を伝えようとしているのだろう?本人も言語化できないその微妙な変化を読み取ります。傾聴なんだか観察なんだかわからないような関わり方かもしれませんが、実はこれは大人の傾聴にも言えることです。

大人は言葉を使えるので説明してもらえば良いと考えがちですが、無理やり当てはめたような言葉で説明する大人の方がやっかいかもしれません。五感を通して、その人の異変に気づき、そこから傾聴を深めていくのが保育におけるより良い傾聴方法です。

4件のコメント

  1. 全身全霊でその人を知ろうとする いい言葉ですねすてきだなぁと思います!

  2. いつも読んでくださり、コメントありがとうございます! 日々流れていくことが多いですが、あらためて文字にすることで、何が大切なのかを確かめられているように思います また、わたし自身も話を聴いてもらって嬉しい! 傾聴してもらってらのかも です

  3. わたしは、お子さんや言葉のない方とかかわるとき、見ること、聴くこと、触れることの感覚を大切にしています。足をカタカタとしている子を見たら「退屈だな~」と思っていることが分かるかもしれない、「あ」と小さい声が聴こえたら私を呼んでくれいることに気付くかもしれない、体に力を入れている感触があれば怖いのかなと心配もできます。
    あるお子さんのエピソードです。そのお子さんは、言葉を話すことも、体を動かすことも困難で、「活動していても眠くなるし、コミュニケーションがむずかしい」という引継ぎを受けました。確かに、簡単には笑顔を見せないし、呼びかけても返事もないし…。どうしたらいいのかな~。そんな中、その子をよく見ると、足をピーンと跳ね上げるように伸ばすことがあることが分かりました。かかわる大人でそのことを確認し、その子が足をピーンとしたら、「すごい!」「足が動いたね」と言ったり、足を触ったりして応答するようにしました。毎回同じことを半年、1年。初めは、なんだか一方通行な感じだったのが、だんだん何か通じ合っている感じになってくると、そのお子さんは、しっかり起きて活動し、やりとりもはっきりしてきました。もしかして、そのお子さんにとって、足をピーンとしたことに対して、言葉や触ることで応じたことは傾聴だったのかもしれません。この傾聴が、その子が元気に活動したり、やりとりしたりすることにつながったとすれば、こんなに嬉しいことはありません!
    五感を使って傾聴する。素敵です。私たち大人が発信する「聴いてるよ~」のお返事だって、言葉でなくても、歌でも、触ることでも、動作をまねすることでもいいのでは!!子どもたちも、大人も、いろいろ。その分、いろいろあるのかなぁと思います。
    *個人情報に配慮し、内容の本質を変えないようにエピソードを一部変更しています。

    1. Author

      素晴らしい!
      究極の傾聴はこういうのをいうんですね。この人はダメだとか、この子はこういう子なんだという情報は本当ではないことがよくありますよね?足をピーンと跳ね上げるというメッセージがあると気づけば傾聴。なかったら、、、
      確かに忙しい毎日の中でそんな些細なことに気づくのは大変なことです。でも、その子が活動ができる人生とコミュニケーションが難しいと決め付けられたままの人生の境目にあるのがその気づきなら、拾ってあげたいですね!!
      いつもとても勉強になります。半年、1年と言わず1時間でも五感というか全身全霊でその人を知ろうとしてほしいな。それで人生が変わるなら、忙しくても面倒でもやる甲斐がありますよね!傾聴講座を通して、そよさんのように気づける人と気付いてもらって人生が輝く人に増えて欲しいと願っています!
      ありがとうございます((´∀`*))

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