3)傾聴がもたらす効果


3)傾聴がもたらす効果

傾聴とは「悩んでいる人が自分を苦しめている感情や場面と向き合うつらい体験」であることも少なくありません。「傾聴がもたらす効果」を頭に入れて、大切な人が「ああ、話をしてよかった!」と感じるような傾聴をしたいですね。

 

1.傾聴の効果

傾聴の効果には大きく5つあります。

1)感情の共有

「寒いな」と思う時に「寒いね」「そうだね」と誰かに受け止めてもらえるとホッとします。

私が就職が決まらなくて、頑張って悩んで頑張って悩んでようやく内定をもらったときに親が一緒に泣いてくれました。泣くほど私と一緒に「頑張って悩んで」してくれたんだなと思うと身体が震えるほどありがたいと思いました。

人は普段から感情を共有しながら生きています。「嬉しい」「頑張った」「さみしい」そんな気持ちを共有=共感してもらえると「そんな風に感じて良いんだ」と自分の気持ちを認めることができます。話の中に出てくる日付や地名などの情報ではなく、感情に反応するように傾聴することで「感情の共有」という意味での傾聴の効果が高まります。

 

2)承認欲求

人は誰かに認めてほしいという欲求があります。それを承認欲求と言います。

お母さんと徹夜で話をして、明け方ごろにお母さんが泣きながら「わかってあげられなくてごめんね」と言ってくれた事が胸に刺さりました。何時間話しても足りないくらい苦しかったのに「認めて欲しかった」という事に自分で気づいたら嘘のように心が軽くなりました。強くなったと言ったほうが近いかもしれません。

自分のために時間を割いてくれること。真剣に向き合ってくれること。理解しようとしてくれているその姿が力になります。「大事にしてもらえた」「認めてもらえた」という気持ちになるように聴くことが大事です。

 

3)カタルシス

感情が解放されて、スッキリした状態になることを「カタルシス」と呼びます。

傾聴やカウンセリングをしていると号泣したり、叫んだりする人もいます。それはそれだけの感情を溜め込んでいたということでもあります。慣れてないとその姿に驚いたり、オロオロするかもしれません。でも、それがカタルシスにつながってスッキリすることもあります。

今まで人に言えなかったり、理解してもらえず一人で溜め込んでいたことを解放できると気持ちが楽になります。

 

4)思考の整理

1+1は暗算でできますが、(823+34+332)×75-2,289は暗算では難しいものです。そういう時には電卓を使うかメモを使います。紙に書く事で複雑な計算でも解く事ができます。自分以外の人の脳を使いながらメモを使って整理する事でしか解けない心の問題もあります。

カウンセラーさんと60分話をしてできたメモ。それから10年以上経っても私の人生の設計図になっています。忙しい毎日に追われてもこのメモがあれば迷子にならずに済みます。(50代会社役員)

「今まであったこと」「複雑な気持ち」「人間関係」などを話している間に状況を俯瞰してみることができたり、頭の中が整理できます。散らかった部屋を片付けると気持ちも整理されるように混乱していた気持ちが整理されるとスッキリします。「おかげで整理ができました」そんな風になる傾聴を心がけたいですね。

 

5)信頼関係

心の底から信頼できる人が一人いれば人は生きていけます。

傾聴をしてもらって、生まれて初めてこんなに大事にされました。この経験があるだけでも私は生きていける。そんな風にすら思いました。

傾聴をしていると話し手と聞き手の間に特殊な関係ができてきます。「この人なら私のことを受け止めてくれる。理解してくれる。私もこの人の役に立てたらいいな。」そんな信頼関係ができると気持ちの上での居場所ができます。人とつながっている感覚がチカラになります。

同行二人(どうぎょうににん)という言葉があります。四国巡礼の遍路などがその被る笠に書きつける言葉です。これは 弘法大師と常にともにあるという意味です。人生は孤独なものかもしれません。でも、心の中の親や友や師匠がともにいてくれるんだと思うだけでつよく生きる事ができます。深い信頼関係を築けた人が応援してくれていると思うだけでも人はつよくなれるのです。

 


2.失望感があると話せなくなる

悩んでいる話し手にとって、傾聴は楽なものではありません。悩みを思い出し、感情を再び味わい、追体験しながらその時のことを語るのです。もちろんそれほど深刻な傾聴ばかりではありませんが、傾聴には苦痛が伴うことがあることは覚えておいてください。

先生もお父さんもお母さんも「あなたがなまけているだけでしょう」という。心療内科の先生も「甘えですね」という。そんな感じじゃないんだけれどうまく説明できない。一生懸命に動こうとしているのに体が動かない。特に朝がひどい。目が覚めても身体がいつまでも動かない。「早く起きなさい」とお母さんの声がする。(わざとやっているなら起きるよ!)そう思うけれど動けない。わかってもらえないのがとてもとてもつらい。(起立性障害の学生)

せっかく血を流す思いで状況を話したのに「ああ、私もそういうのありますよ」と簡単に受け止められたり、「それはあなたにも問題があるんじゃないですか?」と嫌な思いをしてしまうと話をするのが苦痛になります。つらい話であるほど、話し手は「理解してほしい」「助けてほしい」という思いが強いので、期待して話をしているのでなおさらです。

「大きな成果が得られた!」とはならなくても「聞いてもらえて安心した」とか「少し気持ちの整理ができた」という効果が得られてこそ、話をした甲斐があります。「傾聴がもたらす効果」を参考にして、より大きな笑顔につながる傾聴を心がけてみてください。

 

 

▼「傾聴がもたらす効果」まとめ▲

ここでは「傾聴がもたらす効果」についてご紹介しました。ポイントは5つでしたね。

  • 感情の共有
  •  
  • 承認欲求
  •  
  • カタルシス
  •  
  • 思考の整理
  •  
  • 信頼関係

悩みを話す時には痛みを伴います。話している人の深刻さと聞いている人の深刻さがあっていると良い傾聴になります。ずれてしまわないように注意したいですね。

ページ下にあるコメント欄に「感想」や「質問」をお寄せください。
「オンライン傾聴講座」は皆さんとの交流によって作られています。よろしくお願いします。

 

 


「4)傾聴の態度」も読んでみてください

次回からいよいよ具体的な傾聴の内容についての話に入ります。傾聴をするのがコンビニの店員さんのような人で「いらっしゃいませ」「そうなんですね」「それは大変でしたね」「わかりますよ」とマニュアルのように繰り返すだけだったらどうでしょうか?どんな態度で傾聴するのかは非常に重要な要素です。正しくセリフを言っていても話し手の気持ちに触れなければ傾聴している意味がありません。日常会話での態度よりもさらに専門的な「傾聴の態度」を次回は学びます。

 

13件のコメント

  1. 傾聴の効果について、特に心にとめておきたいポイントを抜き出した。
    傾聴は、話してよかったになるように。
    ・「嬉しい」「頑張った」「さみしい」などの気持ちを共有・共感してもらえると「そんな風に感じて良いんだ」なる。
    ・人に言えなかったり、理解してもらえなかったことを話して、気持ちが楽になる。
    ・話している間に状況を俯瞰してみたりして、頭の中が整理できる。
    ・話している人の深刻さと聞いている人の深刻さがあっていると良い傾聴になる。ずれないように注意。
    感想:私の話を聴き方の特徴は、明るくする傾向が多い気がする。逆に聴いてもらうと、深刻に聴かれて嫌だな、悩みが重くなった気がすると感じる時がある。深刻さに耐えれない、解決しようなどなど他のことに目が向いて、相手の気持ちをよく見れてないんだろうな。相手に話させて、いろんな気持ちに「そう感じていいんだよ」とすることで、相手自身が、何が心や頭にあるって気づいて、整理できることを目指すという視点が大切だと思うができていない。解決しよう、良くしようと思ったり、相手の中にあるものではなく、変えるもの、付け足すものを探しがちである。
    相手の世界を感じて、理解して、整理すること目指すことかな。話してよかったになるように(o^―^o)ニコ

  2. 息子仲良くしている友達に家に寄り付かない男の子がいます。
    高校も中退してしまい、自分の将来のビジョンが見えていない様子です。
    少し人見知りですが、会えば挨拶もするし、私から見ると普通の子なのですが、その子のお母さんはことごとく息子の欠点をあげつらって「悪い子で困った困った」と言っています。
    先日も中退後の進路について相談されましたが、母と息子の気持ちがかけ離れている気がして、大したアドバイスもできませんでした。
    今回の記事を読んでみて、お母さんが彼の「承認欲求」を満たしてあげていないのが原因なんだとわかりました。
    たとえ親子であっても自分のことを認めてくれない人を信頼することはできないんですね。
    友達親子にはなんとかいい方向にいってほしいので、もし今度お母さんから相談があったらこのサイトを紹介してあげたいと思います。

    1. わーい!
      是非、そのお母さんにこのサイトを紹介してくれたら嬉しいです。
      子どもはお母さんとの心の繋がりを求めています。
      子どもが学校や地域で色んなチャレンジをして、色んな思いを経験して、家に帰ったらお母さんの笑顔を見るだけで癒されます。
      彼の「承認欲求」が満たされたら、彼はどんな素敵な人になるんでしょうかね?

  3. 傾聴という言葉は聞き慣れなかったのですが、記事を読んでなるほどと納得がいきました。自分の身に振り返っても誰かに聞いてもらうことで心が軽くなった体験はあります。今度は、自分が誰かの心の癒しになるように、傾聴を取り入れて実践してみたいと思いました。

    1. 「自分が誰かの心の癒しになる」その思いに敬服いたします。
      是非一緒に実践していきましょう!

  4. 傾聴という言葉を聞くのは初めてでしたが、傾聴がもたらす効果を1つ1つ読んでいると、なるほどなと全て頷きたくなりました。
    というのもこれまで私自身も経験したり思い当たる事があったり、もしそうなれば楽になるだろうなと想像ができたからです。
    逆に私は傾聴する事でこれまで人のお役に立てたり力になった事があっただろうかと思い返してみてもあまりそういう記憶もありません。
    傾聴が簡単なものではないと理解しましたが、私のできる範囲で傾聴をして誰かのお役に立てれば幸いだな、と思いました。

    1. natsuさん、
      私のできる範囲で傾聴をして誰かのお役に立てれば幸いだなという思いこそが、傾聴の一番大切なところだと思っています。
      一緒に傾聴を学べたら嬉しいです(*^^*)


  5. 母との会話の中でいつも自分の話ばかりマシンガンのように話して、私の聞いてほしいことは話すすき間がないと感じていました。それが ある時、私が母の質問に答えた時に しばらく沈黙があり一言
    「大変だったね」と言われた時に いつもとは違う
    聞いてもらえた、という感じがはじめてしました。
    沈黙の時間に共感してもらえたという実感があります。逆の立場でも、この感覚を大事にしようと思いました。

    1. コメントありがとうございます。
      お母さまと感情の共有ができたんですね。
      是非、大切な方にもこの感覚を感じてもらいようになさってくださいませ。

    2. Author

      感情の共有は弱っている時ほどチカラになりますね。
      ありがとうございます。

  6. とてもとても苦しい時に悩みをある人に相談しました。その人は「そこがあなたの悪いところ。だからダメなんだ。」と言いました。
    私としてはこの苦しさを分かってほしい、できれば解決策のヒントが欲しいと思っていたのですが、もっと傷口を抉られたと感じました。

  7. Author

    悩みが深くなるほど傾聴自体がかなり負担になります。よく「メスでお腹を切り裂いてそのままにする」と悩んでいる人は表現しますが、必死に話をしたのに「あ、そう!」のようなリアクションだと傾聴の苦痛を無駄にされたような気持ちになります。悩んでいた当時、それが繰り返された結果、誰にも悩みを話さなくなったことを思い出しました。

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