不登校

不登校

不登校とは学校に長期間行けていない状況を指します。文部科学省の定義では30日以上で「不登校」ということになっていますが、通信制高校など毎日通うスタイルの学校ではない場合当てはまらない場合もあります。

ここでは不登校を解消するための関わり方を具体的にご紹介します。

1.2つの不登校

不登校は大きく2つに分類されます。

1)学籍がある不登校

ある学校に所属している状態での不登校の場合には学校側がその子の状況を把握して、サポートに入るので比較的対応しやすいと言えます。逆に学籍がある間に対処しないと対応が難しくなります。

2)学籍がない不登校

学籍がない場合、その子は社会的に把握されていない可能性があります。外部からのアドバイスやある種の強制力が働かないため、「大人のひきこもり」に発展してしまうことがあります。また、特に高校生の場合には一度退学して、学籍がない状態を作ってしまうと3年間で卒業することができなくなります。

学籍がある間に新しい学校を見つけ、転校という形をとると高校の枠組みの中で対処しやすくなります。

 

2.不登校の子供の気持ち

不登校の子供の気持ちを理解するためには「説明」「対話」ではなく、「傾聴」が役に立ちます。傾聴をしていくと不登校になる子供の心理には幾つかのパターンがあることがわかります。

1)代理

小、中学生に多いのが親のマイナスの感情を代わりに表現していることが多いという傾向です。「千と千尋の神隠し」という映画がありましたが、あの映画に出てくるカオナシは主人公の千尋の心理描写として表現されています。千尋の情緒が安定し、成長するにつれてカオナシも暴れなくなり、聞き分けが良くなります。傾聴していると子供の内面にあるカオナシが保護者(一般的には母親)を傾聴した時に出てくるお母さんの中のカオナシと似通っていることが良くあります。まさにお母さんの心の闇を代わりに表現してくれているような言動をしている。これが「代理」のパターンです。

不登校という症状が出ていてもこの「代理」の場合には根本の問題は夫婦や嫁姑、介護、親族での揉め事などが背景にあることも少なくありません。このような家庭の場合、「不登校」の相談を受けて家庭訪問をしても実際には「夫婦の問題」が隠れていた。と別のテーマになってしまうことがあります。

子供が不登校になると「親が変われば良い」という人が少なくありませんが、ほとんどの不登校は親が変わるより良い方法があります。この「代理」のケースにあてはまる場合だけは親が喧嘩を止めるなどの変化が求められます。

2)息切れ

いわゆる良い子、勉強を頑張る子、進学校や中高一貫校の生徒に多く見られるのがこのタイプです。傾聴をしていると「実はこれは私じゃない」「まわりにあわせてきた」「自分で決めさせてもらえなかった」そんな言葉がでてきます。

勉強を頑張って、より成績の良い生徒たちがいる学校に入ると頑張ったのに成績は下位ということもあります。そこでまた頑張って、、、を繰り返す子供たちの心の支えはなんでしょう?冷静に頑張り続ける子供たちの心の支えを想像してみてください。「親に褒めてもらえる」だけで頑張りきれるものではありません。日頃から傾聴をベースにした会話をしていると「もうこの辺りが限界かもしれない」と子供が本音を話す機会が得られます。

3)依存

家にはカラーがあります。そのカラーは隣の家と比べませんから驚くほど個性的です。そして、今の私たちの社会はひとりひとりが自立している前提で作られています。基本的な生活習慣やスキル、就職できるだけの知識などは基本的には自己責任です。

一方で非常に依存的な家庭もあります。「学校が悪い」「社会が悪い」・・・足りない部分を誰かに求める発想をする人たちは最終的な責任を自分で負う考え方が育っていません。不登校になってしまった生徒をサポートするアプローチはたくさんありますが、人生を代わってあげることはできません。

依存的な家庭では「学校が不登校を解消してくれるなら・・・」「うちの子どもに割く時間が少ない」というクレームが良く起きます。そして、子どもも同じ発想をするので「親がこうしてくれるなら・・・」「親のサポートが少ない」と考えるのです。この問題はその後の就職活動でも結婚でも表面化してきます。傾聴を通して、本人が自分の人生を引き受けられるようにしていくことが最も大事な課題と言えます。大人のひきこもりの発端はこの「依存」タイプの不登校です。

4)うつ

不登校の原因が「うつ病」の症状によるものなのか、甘えや依存なのかを区別するのは難しいことです。傾聴をしていく中で「できるけれどやらない」のか「できない」のかを聴き分けていくと「ああ、頑張っているけれど無理なんだな」と感じることがあります。この場合、うつ病の大人が外出できないのと同じ状況になっていますので、まずは「不登校対策」をするのではなく、「うつ病対策」をすることが必要です。学校をゴールにせずに本人がやる気が出ることをゴールにするとうつ病が改善し、力が出てきます。

5)コミュニケーション

そもそものコミュニケーションが苦手で不登校になる子も少なくありません。特に中学校の初日、高校の初日、新学期の初日にクラスメートと上手く言葉のキャッチボールができずに孤立してしまったり、教室というコミュニティになじめないと学校に行けなくなります。部活やバイトは継続できる場合には本人のコミュニケーション能力というよりは単に学校が性格に合わないことも考えられますが、どこにいっても輪に入れないということだと、問題は不登校にとどまらず、コミュニケーション全体を改善する必要があります。

そして、コミュニケーション能力の基礎は家庭で作られます。あるご家庭で子どものことを「お前」と呼んでして、子どもが相手のことを「お前」というと「何ていう言葉を使うんだい!」と叱っていたケースがありますが、家庭でよく使われる言葉、言い回し、反応を子どもは学習していきます。日常的に共に喜び、共に悲しみ感情を共有することが問題の解決につながります。

6)ポジション

学校の中には目に見えない、保護者にはわかりにくい階層構造があります。成績が悪すぎる子は「落ちこぼれ」と呼ばれ居心地が悪くなりますが、成績が良すぎる子も「浮こぼれ」と呼ばれ、居場所がありません。平均点60点のテストで58点や65点を取るから友達と楽しく関われるのであって、0点や100点の子はその輪には入れないのです。0点では話にならない。100点の子にとってはそのテストの話題は終わっている。どちらも輪に入れないという意味では寂しい思いをします。

それ以外にもゲームを持っているかいないか、スポーツができるかできないか、彼氏彼女がいるかいないかなどでグループが違ってきます。

最近のゲームは「ゲームをしたい」というよりは「友達と遊びたい」という意味で欲しがる子どもが増えています。昔、「サッカーがやりたいからボール買って」と言ってサッカーボールを買ってもらったり、野球の道具を買ってもらう子がいたのと全く同じなのです。

このポジション取りを間違えるとクラスで孤立したり、居場所がなくなってしまいます。

7)発達障害

もし、発達障害があると本人が一生懸命にやっているのについていけなかったり、友達に嫌がられたり、場合によってはいじめられることもあります。本人がなぜいけないことなのかわからないのに責められたり、友達以上に頑張っているのにできないことを苦しいと思うと学校に行く気持ちがなくなってしまいます。※発達障害については細かい分類や程度などによっても内容が異なるのでここでは簡単な文章にとどめておきます。

 

3.一番理解すべきなのは?

多くの人は「2.不登校の子どもの気持ち」を読んで「自分の子どもはこれかしら・・・」とあてはめようとすると思います。しかし、それがとても危険なのです。

1)子どもの心は「本」や「他人」から学べない

子どもは家電ではありません。スマホが壊れたら型番を言えば専門家が直してくれます。冷蔵庫もテレビもそうです。でも、子どもは人間です。絶対に誰とも共通しない傾向を持っています。誰も経験していない角度、組み合わせ、タイミングで何かを経験しているのが人間です。これがモノとの大きな違いです。

  • スマブラをやったことがある子と無い子では不登校の解消の仕方が違います。
  • 親が医者の場合と教員の場合、経営者の場合ではアプローチが違います。
  • 身長が高い子とそうでない子では対応が違います。
  • 視力が良い子と悪い子では対応が違います。
  • ラーメンが好きな子とスイーツが好きな子では対応が違います。
  • 兄弟がいる子といない子。兄弟の組み合わせや年齢の差で対応が違います。
  • 左利きだったり、左利きを矯正していたら世界の見え方が違います。
  • Bitcoinに興味があるかどうかで対応が違います。
  • 絵が描けるか描けないかで、傾聴の仕方や心理描写が違います。
  • 住所を「東京都」から書くか「八王子市」から書くかでも違います。
  • 第三者に怒鳴られた経験がある子とない子でも違います。
  • 幼少期を同じ東京都でも足立区、世田谷区、国分寺市、八丈島・・で過ごしたかによっても違います。
  • 団地で育ったか、一軒家だったかでも違います。
  • 幼稚園の頃に折り紙や工作が好きだったかどうかでも違います。

キリがないのでこれくらいにしますが、違うのは当たり前です。

これらの組み合わせと本人が生まれ持った個性でその子の人生観や世界観ができています。傾聴を通して、それを理解し、どんな人生観、世界観、感受性の持ち主なのかを理解することが大事です。

 

不登校を解消するために一番やらなくてはいけないのは家の外を動き回って情報収集することではなく、子どもの心の中で何が起きているのかをきちんと理解することです。

私は不登校の生徒の面談をするときに親と本人に並んで座ってもらい、親に最初に話をしてもらいます。その話を聞きながら、子どもの反応を見ていると9割の子どもが「いや、そうじゃないんだけどな」「また、その話!それじゃないって言ってんのに」というような顔をします。親の傾聴をしながら、子どもの反応を見て、「この子は優しい子なので」(親)「そうじゃないんだけど」(子ども)という反応だったら、「優しい子」と決めつけられるのが嫌なのかな?と推測できます。そして、今度は子どもと1:1で話をします。

「さっき、優しい子、、、と言われて首を横に振っていたね?」

不登校対策で一番重要なこと、一番知りたいのは本人の気持ちです。それは「本」に書いてあるわけがありません。本人の言動から聞き出したり、察して、理解を深める必要があります。

 

2)中途半端な技術を使わない

不登校の親の会などに参加して、テクニックを教わったり、考え方を知るとそれを家ですぐに使う人がいます。子どもは生まれていらいずっと親を見て育っていますから、「あ、今日教わってきたんだろうな」というのはわかります。

本人は不登校で苦しい思いをしているのに・・・
「おふだ」をもらってきたからこれに祈ろう!

そんな風に言われたら皆さんが当事者だったらどう思いますか?「関係のない話」と思いませんか?

「お母さんペップトークを習ってきたから!」

「お父さんコーチングを習ってきたから!」

「この学校があなたにぴったりだと思うよ!」

これらも本人から見たら「おふだ」と変わりません。

大事なのは「本人の気持ちを理解する」一点なのです。

 

4.不登校の子どもに傾聴するときの注意

傾聴を子どもにするときには注意した方が良い点があります。

1)昼夜逆転

不登校になると昼夜逆転することが少なくありませんが、これは症状の一つです。お腹が空いて、飢餓状態になったら目の下にクマができます。原因が空腹で症状がクマです。クマが気になるからといって化粧品を買いに行くのではなく、食事を提供した方が助けになります。

昼夜逆転をただ直すよりも本人の心や生きる力を高めることが先決です。また、昼夜逆転していると人によっては夜の21時ぐらいが朝で、24時くらいから動き始めることもあります。傾聴をするタイミングも24時くらいがちょうど良いこともあります。

2)ゲーム・まんが

ゲームやまんがをよくないものと考え、遠ざけるのは良いですが、なぜゲームをしていると思いますか?ゲームやまんがはそれがやりたいのではなく、深刻に悩みたくないからそれを邪魔するためにやっています。傾聴を通して、それを聞き出すことができればだいぶ理解が進みます。

また、ゲームやまんがの中にある世界観に理想の出口を描いていることも少なくないので、それが大きなヒントになります。

3)学力

数学のように積み上げていくタイプの学問はわからなくなると授業に全くついていけません。少し体調が良くなり、気分も上がってきたら、学力を調整してから不登校を解消すると上手くいきます。勢いで学校に行かせてしまうと余計に落ち込むことになってしまいます。

 

5.ローカルルールに気づく

不登校の子どもに親ができることはなんでしょうか?子どもと向き合い、傾聴することはもちろん大事ですが、それ以外に有効な方法が一つだけあります。それは自分の家のルールがいかにローカルルールかということに気づくことです。

怒りすぎる家。甘やかしすぎる家。考えすぎる家。暗すぎる家。話をしない家。常識がない家。依存した家。競争しすぎる家。家によってさまざまなカラーがあります。

ひとつの側面としてはそのカラーが子どものカラーとして役立ちます。

そして、マイナスの側面としてはそれだけでは通用しない局面で問題を起こすのです。これは育児の仕方や教育方針が良い悪いではなく、偏っていることに問題があります。

ローカルルールに気づくには親同士や他の家庭の子どもの傾聴が役に立ちます。

傾聴を通して、普段話されることのない家の中の「当たり前」を聞いて、カルチャーショックを受け、自分の偏りに気づく。すべての人は常識的な真ん中、普通の場所にいると信じながら偏っています。親が変わることができるとすれば、親自体が何かを学ぶのではなく、実体験を通して成長して行くしかありません。

このオンライン傾聴講座では実際にたくさんの傾聴をすることを意図して、ノウハウはあえて公開しています。ここに書かれている膨大なノウハウは頭で理解しても何の役にも立ちません。自分自身が数多くの傾聴を通して、結果として「このページに書かれているとおりだ!」という結論に至らなくてはならないと思います。ぜひ、一緒に活動して、お互いの成長を助け合いましょう!

 

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