介護施設でボランティアを受け入れるために

介護施設でボランティアを受け入れるために

介護施設でのボランティアには様々な種類があります。お話相手となる傾聴ボランティアや、歌や楽器の演奏、庭や花壇のお手入れ、縫い物など、多くの方が自分のスキルや経験を生かしてボランティアに取り組む事ができます。超・超高齢化社会を迎える日本としては、積極的にボランティアを受け入れる事で、職員の負担を減らしたり、施設で生活をしているご利用者に楽しみを感じていただいたり、多くのメリットがあるでしょう。ボランティアをする側も、傾聴スキルや楽器の演奏など、自分のスキルを活かす場としてボランティアは格好の場です。また、ボランティアを通して人の役に立っている事を実感するのは大きな喜びにもなります。

このように、お互いにとってメリットのあるボランティアですが、受け入れる側の意識や体制が整っていないと、気持ちよく来ていただく事ができません。ここでは、施設側がボランティアの方を受け入れるポイントについて見ていきたいと思います。

1.目的の明確化と共有

どうしてボランティアを受け入れるのか、目的を明確にしておく事は重要です。目的が明確になる事で、受け入れる側の意識も明確になります。「ご利用者に楽しんでもらいたい」のか「なかなか手が回らない縫い物をやってもらいたい」のか、ボランティアがどれだけ感謝すべき存在なのかを感じ、共有しておく事で、自然とボランティアを受け入れるのにふさわしい雰囲気になるでしょう。

2.場を作る

初めて来るボランティアの方は、施設でどのように振舞ったら良いか、そこにいるご利用者がどのような方なのか当然分かりません。初めてボランティアに行ってみたけれど、どこでやったら良いかも分からず、道具もろくに準備をしてもらえず、ご利用者もろくに集まっていない、というような状況だったらどうでしょうか? また、行きたいとは思いませんよね。もしかしたら、ボランティアに行く事自体を嫌になってしまうかもしれません。

もし、自分がボランティアとして施設に行ったら、どのように受け入れてもらいたいかという視点で考えておけば、自然とやるべき事は見えてくると思います。また、楽器演奏や演劇などご利用者に披露するようなボランティアであれば、拍手をしたり、笑ったり、職員が率先して盛り上げ役をになう事も大切です。

3.振り返り

ボランティアによっては、終わった後の振り返りを行う場合もあるかと思います。その際、出来るならば職員も交えて、振り返りを行った方が望ましいでしょう。ご利用者と関わるボランティアであれば、あまり身近に接していない方々では、評価をする事が難しくなります。傾聴ボランティアの方が、上手く傾聴する事ができなかったとします。経験豊富な方や、何度も通われている方であれば、高齢者への理解があったり、ご利用者の事が分かっていたりして、対応する事が出来るかもしれません。しかし、まだ経験が足りない方の場合は、上手くいかない原因を特定する事は勿論、想像する事すら出来ない可能性があります。

認知症という病気に接した事の無い人は、どのように対応すれば良いか分からない場合もあるでしょう。

聴力が低下していて、声の大きさが小さい事が原因かもしれません。高齢者の中には、右耳は全く聞こえなくても、左耳なら聞こえるというような方も大勢います。

時間帯や排便が滞っている等の理由で、イライラしていて傾聴が出来ない場合もあるでしょう。

このような事は、長い時間をご利用者と共に過ごしている職員にしか分かりません。また、介護の世界に長くいると、それが当たり前だと思ってしまう事が多くあります。しかし、介護に関わりの無い人からすると、思ってもいない事である可能性もありますので、一緒に振り返りを行いながらギャップを埋める事が必要になってきます。

4.感謝

高齢者の場合、ボランティアとして何か活動したとしても、あまり反応が無い場合が多くあります。傾聴をしても、お話し相手が認知症の方で、何度も何度も同じ話しを聴いて、数分してしまったら自分の存在を忘れてしまっている。そのような事があると、「傾聴をした意味ってあるのかな?」と疑問を感じてしまうかもしれません。しかし、たとえ認知症で話した事を忘れてしまっても、話しを聴いてもらった瞬間の感情はちゃんと残ります。その後の気持ちや行動にも大きく影響している場合もあるでしょう。そして、多くの施設で人手が少ない中、職員が提供出来ない喜びをご利用者に届けて下さる事はとても価値があります。そのようなボランティアの方が感じられない貢献感を、感謝という形でお伝えする事は非常に重要です。人は誰かに喜ばれる事で、自分も喜びを感じます。ぜひ、「ボランティアに来てよかったな。また来たいな」と思って、気持ち良く帰って頂けるような感謝の言葉を送って差し上げて下さい。

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