発達障害の子どもたち

発達障害の子どもたち

「発達障害」という言葉をよく耳にするようになりました。テレビの特集や本、ブログなどでたくさん取り上げられるようになってきて、「なんとなく変わった子」ととらえられていた子どもたちの背景に、「発達障害」が関係していることが知られるようになってきました。
でも、「発達障害の子どもたちのこと、よくわからないし、自分がかかわってもいいのかなあ。」という方もいらっしゃるかもしれません。今日は、発達障害の子どもたちについて、「もう少し知りたいなぁ」「どうやって傾聴するの?」と思ってくださる方に向けて、少しお話しさせていただきます。

 

1.発達障害とは?

まず、「発達障害」とは何なのでしょうか。発達障害者支援法では、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」とされています。

すなわち、「発達障害」は、育て方や心の傷といった後天的な要因ではなく、脳の微細な障害という先天的な要因によるものであるということです。このことがはっきりと分かるまでには、母親のかかわり方の問題、愛情不足等が原因であると考えられていた時代もあり、随分悲しい思いをしたお父さん、お母さんもたくさんいらっしゃいました。

また、「発達障害」というカテゴリーの中にも、コミュニケーションや社会性に困難さをもっている子ども、文字を読んだり書いたりすることや計算等学習をする場面で困難さをもっている子ども、ものごとに対する注意を整理して行動することに困難さがある子ども等、その困難さに違いがあることも示されています。つまり、「発達障害」と言われている子どもであっても、決してひとくくりに考えることはできないのです。

これらのことは、発達障害の子どもとかかわるにあたり、基本的なポイントとなります。

 

2.「困った行動」をどう見ますか?

1)大人から見た困った行動

「発達障害」の子どもたちの話題は、ご家族や学校の先生の「悩み」として打ち明けられることが多くあります。「少し予定が変わっただけでものすごい癇癪を起こして、手がつけられない。」「忘れ物が多くて、机の上も整理整頓できない。」「何度練習をしても漢字を覚えることができない。」等、その「悩み」は様々です。発達障害の子どもたちとかかわっているご家族や先生たちは、子どもたちの成長を願い、困った行動をなんとか解決したいという願いをもっているからこそ、真剣な「悩み」となるのです。

2)困っているのは、子どもたち自身

しかし、この困った行動について考えるとき、大切にしなくてはならないのが、「子どもにとってどうなのか?」という視点です。先ほどあげたご家族や先生の「悩み」を、子どもたちの立場から想像してみます。

「私は、算数があると思って準備をしていたのに、急に国語になったら、頭の中 が真っ白になって、勉強どころじゃないよ。」
「筆箱や給食セットやノートが全部気になって、一番大切なものが分からなくなってしまったよ。」
「漢字をよく見ようと思っても、沢山の線がばらばらに見えて、覚えることなんて無理だよ。」

そうなのです。もっとも悩んでいるのも、もっとも困っているのも、実は、子どもたち自身なのです。

子どもたちは、悩みや困っていることを上手に伝える言葉をもっていなかったり、自分のことを客観的に見ることができなかったりします。そのため、悩んでいることや困っていることを上手に処理しきれなくなって、不登校になったり、反社会的な行動を起こしたりしている子どもたちがいるということも、知ってもらえればと思います。

 

3.発達障害の子どもの「傾聴」

1)「障害」ではなく、「その子らしさ」

ここまで、発達障害の子どもたちについて、「障害」ということに視点を置いてお話してきました。でも、実は、どんなに「障害」について詳しくなっても、発達障害の子どもを理解したとは言えないのです。
それは、「障害」を理解するということと、「子ども」を理解するということは、全く違うことだからです。自閉症でこだわりが強いという障害があっても、電車が好きなAちゃんであり、不注意で忘れ物ばかりという障害があっても、野球が得意なB君なのかもしれないのです。

2) どんな話をするのか?

発達障害のお子さんのお話を聴く機会があるとすれば、まず、何をお話してもらうのでしょう?大人がカウンセラーに話を聴いてもらう場合と少し違うのは、どんなに悩んでいたり、困っていたりする子どもでも、そのことをどんどん話す子どもは少ないということです。ましてや、子どもが、はじめから自分の「障害」について視点を置いて話すこと等、ほとんどありません。

では、発達障害の子どもたちは、何を話すのでしょう?

子どもたちは、自分の好きなこと、得意なこと、頑張っていることを話すのです。そうなのです。健常と言われる障害の無いお子さんと同じなのです。だから、発達障害のお子さんとお話をするとき、是非、「好きなことってなに?」「どんなゲームしてるの?」「得意なこと、教えてくれる?」「がんばってることある?」と質問してみてほしいのです。そこには、「障害」ではなく、「その子らしさ」があるのです。きっと、お子さんは、目をキラキラとさせて、沢山お話をしてくれると思います。学校や家庭で、周りの大人を困らせることをしてしまい、叱られることの多いお子さんも、表情が柔らかくなり、笑顔になってくれるはずです。「障害」ではなく、「その子らしさ」を十分に受け止め、認めてもらうことが、お子さんにとって、一番重要なことなのです。

もしかすると、お話の苦手な子がいたり、すぐにお話に飽きてしまう子もいるかもしれません。そんなときは、その好きなこと、得意なことを一緒に楽しむことをお勧めします。子どもたちにとっては、それが一番の「傾聴」のかたちかもしれません。

3)「傾聴」を成長の支えにして

もし、しっかりと話を聴くことができ、子どもたちが「自分らしさ」を確認することができれば、子どもたちの中に力が湧いてくるのを感じることと思います。子どもたちには、その力を使って、自らたくましく成長していくことを願うばかりです。

今、世界の流れとしては、「共生社会」の構築を目指し、少しずつ社会が変化してきています。日本でもゆっくりとその動きが出てきているところです。でも、まだまだ、障害のある人が過ごしていくには、困難が多いのも現実です。

「発達障害」のお子さんも、小さな体でこの現実社会と戦い、折り合いをつけながら生きています。私は、「傾聴」が、発達障害のあるお子さんの成長を支えると信じたいと思っています。

 

22件のコメント

  1. “障害”ではなくその子らしさを・・という点とても分かります。
    あまり障害があるというところにこだわり過ぎずに、
    その子自身をもっと見つめてあげることが大切だと本当によく思います。
    最近は発達障害があるかないかということに注目されがちですが、
    発達障害のある子もそうではない子も全ての人の生きづらさが認知されていくといいですよね。

    1. そうですね。
      その人その人の生きづらさがあると思います。
      人には生きずらさと同じくらいその人の良さもあると思っています。
      その生きずらさとその人の良さがうまくマッチしていくと、面白い科学変化が起こりそうな気がします。

    2. Author

      キエさん 小林やす子さん
      人は、だれしも生きづらさを抱え、それでも、たくましく生きている存在なのかもしれませんね。だからこそ、誰かに見ていてもらいたい、知っていてもらいたい。ささやかな願いだけど、とっても大切な気持ちなのかな。ありがとうございました🌼

  2. 困っているのは子どもたち自身。という言葉は良く覚えておきたいなと思いました。
    簡単なことなのにどうして・・・という想いは、他人とすぐに比較してしまう親の悪い癖なのでしょうね。
    その原因が脳の先天的な異常にあると知っていれば、子に対する気持ちも接し方も変わってきます。
    特定のジャンルで出来ないことがあっても、他の良い点を見て伸ばすように心がけて子育てに臨みたいと思います。

    1. ゆういちさん
      どうしても出来ないことに目がいってしまいますよね。
      私もこの良い点に目が向くよう、難しいですがやってみます!

    2. 困っているのは子どもたち自身、私もこの言葉に大きくうなづきました。
      私も子どもと関わる仕事をしているので、子どもの困り感を感じることが多々あります。
      忘れ物をした子は「どうして忘れてしまったんだろう」というショックを受けています。
      外見的にはおちゃらけていても、心の中では自分を責めてしまっているのを感じます。
      そいう子は、人の痛みが分かったり、人懐こかったり、友達思いだったりします。
      そういう点を重視していきたいと思いました。

    3. Author

      ゆういちさん オカメンさん
      子どもたちに教えてもらっている大切なこと。ちゃんと気づける心をもっていたいなーと思いました。ありがとうございました🌼

  3. 発達障害、という言葉を耳にするものの実際よく分からない人が多いのが現実です。
    この記事を読んで思ったことが、子供の気持ち、成長を尊重すると書いてあり、凄く納得してしまいました。やはり、発達障害であろうとなかろうと、人間の気持ちや感情があるものです。そういった部分をもっと良い方向に進めていく。それが大切だなぁと思いました。

    1. 発達障害はお医者様が付けるレッテルです。もし、そういうレッテルがついていても、その人が一人の人間であることには変わりは無いはずですよね。発達障害、LGBT、部落、どんな特徴を持っていても、その人の気持ちや感情を大切にしていこうと、私も改めて思いました。

    2. Author

      白和えさん
      大切なことはなにかと探していく気持ちをもっていたいな。発達障害だけど、1人の人間。
      発達障害という診断が、子どもたちを救うためのものであってほしいなと思いました。ありがとうございました🌼

  4. 「子どもにとってどうなのか?の視点」
    これが一番大事なのに「大人にとっての視点」にいつの間にかすり替わってしまっていますね。子どもたちは「経済の社会で競争したい」とか「20歳近くまで勉強するのが当たり前の社会で一人前になりたい」とか思っていないかもしれませんね。
     
    お父さんとお母さんとお友達と楽しい時間を過ごしたい。
    「好きなことってなに?」「こんなことが大好きなんだ!」
    「がんばってることある?」「こんなことを頑張ったんだよ!」
       
    効率が良くなくても社会の流れと違ってもそれに耳を傾けて、「そうなんだ〜」っと聴いてあげられる人、オトナになりたいですね。

    たんぽぽ ちえさんの記事を読んでいてふと、
    「星の王子さま」を思い出しました。
     
    すべての人が一生懸命に愛情を形にしたいと思って苦労しているんだと思います。
    それが「行き違い」にならずに報われる社会にしていきたいですね。
    たんぽぽ ちえさん、みなさんありがとうございます。

    1. Author

      事務局さま
      「星の王子さま」 うちにもある本です。
      どこが思い出すポイントだったのかな。「大切なことは目に見えない。心で見るんだ。」だったかな?私たち大人は、子どものころに見えていた大切なものが、だんだん見えなくなってきているのかもしれないなあと思いました。
      大切なものってなんだろう…? 経済とか、学歴とか、名誉とかではなく、自分の好きなこと、得意なことだたりするのかもしれないなあと思いました。発達に困難さのある子どもたちが、何か教えてくれるのかもしれないですね。ありがとうございました🌼

  5. 発達障害のお子さんへの関わりに、思いを注いでるのを感じました。
    小さい体でこの現実社会と戦い、折り合いを付けながら生きているというところが、ジーンときました。
    どうもありがとうございます❤️

    1. Author

      なぁーなさんへ
      記事を読んで、ジーンとしている いろいろなことを感じる心💕 大切だなぁと思います
      ありがとうござます😊
      他の記事のコメントになりますが、変性意識🧚‍♀️
      実感できてよかったですね わたしもはっきりわかるわけではないけど、不思議なあの感覚?って思ってます🌼

    2. なぁーなさんへ
      「小さい体でこの現実社会と戦い、折り合いを付けながら生きている」
      本当にそうですよね。知り合いのお子さんの話を思い出しました。
      不得意なことがたくさんあって、それでもなんとか周りの子についていこうと人一倍頑張ってもなかなかできなくて。。
      頑張ってる僕は凄いんだ!となかなか思えなくて、悔しくなって、悲しくなって、怒られないようにビクビクして、諦めて、周りから離れて寂しくて。。
      でも、そんな子って、いくつか人一倍得意なことや興味のあることがあったり、人の気持ちを誰よりも感じられる優しい子だったり。。
      日本という国は教育の場でいつまで同調性を求めていくのだろう。。社会人になれば、個性を発揮しろと求められるのに。。

      お話を伺った方からは、「おごだでませんように」という絵本があることも教えてもらいました。発達障害の傾向を持つ子どもたちの気持ちがよく分かる素晴らしい絵本でした!^_^

      返信のつもりで書き始めたのですが、勝手に話を広げてしまいました。ゴメンなさい。。

    3. Author

      かずさんへ
      がんばっても認めてもらえない気持ち 胸が痛みます
      「おごだでませんように」 せつなくなるタイトルです 子どもたちには、いっぱいほめられてほしいのに
      かずさんのように、辛い気持ちの子どもに心を寄せる大人がたくさんいる世の中だと、発達に困難さのあるお子さんも幸せな気持ちで成長できるのでしょうね
      わたしも、そんな世の中を責任をもってつくる大人でありたいです ありがとうございました🌼

    4. 多くの大人も、子供も、現実社会と戦い、折り合いを付けながら生きていると思う。それに多くのエネルギーを使っているのが、現実社会なのかなと思う。
      それを小さい子で、発達障害という特性を持った子が、わけわかんない中頑張ってるのに、頑張っても、頑張っても、認められず、怒られる。「ダメ」言われる。否定される。ダメな子扱いされる。それじゃ、爆発しちゃうね。
      なんか、悲しいね。。。

      変わってる人は難しいよ。面白いけれど。
      みんなそれぞれの特性を活かしていくことなのかな(o^―^o)ニコ
      戦いじゃなく、私と社会との調和で、満足している私でいれるには。
      オンライン傾聴講座とかは、そうなり方を教えてくれると思っているんだ(o^―^o)ニコ

    5. たんぽぽ ちえさんへ
      ありがとうございます!勇気をいただきました^_^
      「わたしも、そんな世の中を責任をもってつくる大人でありたいです」とおっしゃる強さ・決意、じーんときました。
      何から手をつけたらいいんだろうってよく思います。
      でもこうやって一つ気持ちが繋がったことが前進なのだろうし、身近な人の体験を深く聴くこともそうなのだろうし、傾聴をテーマに広範に学んでいくこともそうなんだろうし!
      自分が日々過ごしている何らの関係性もなさそうな仕事の現場にもそれは眠っているにかもしれない。自分のマインドさえ見失わなければ、どんなことにも意義と経験と何らかの貢献の萌芽を見つけることができるのかもしれませんね!^_^

    6. Author

      かずさんへ
      繋がり 嬉しいです😊 これからも共に学び合っていきたいですね ありがとうございました🌼

  6. 今回のお話とは関係ないと言えばない上に、ふざけているように感じるかもしれないのですが…

    一説によると、タイムリープした世界では文字が反転していたり、常識がズレていたりすると言われます。ドラマ等の世界観では確かにタイムリープというモノがあるのだけれど、現実に今、どこの誰がタイムリープしているかとか、証明する手立ても無ければ、逆にそれが存在しないことを証明することも出来ないのです。

    とはいえ、私はタイムリープについて語りたい訳ではなくて…

    もしも。もしも、前世や胎内記憶が有るか無いかと同じレベルでタイムリープを考えてみたなら…

    発達障害と言われる気持ちの感覚に近付けるような気がするんです。自分の中の当たり前が、周りの人たちの困り顔の原因になること、想いが真っ直ぐに伝わらない苛立ち、不安…。とてつもない孤独と恐怖感だと思います。

    ふざけているわけではないのだけれど、もしかしたら嫌な表現だったり、当事者の方や悩んでいる方を傷付けてしまっていたらごめんなさい。傾聴する際のイメージとして、少しでも何か参考になれば…と思い書きましたm(_ _)m

    意味不明な話を読んで下さり、ありがとうございます。

    1. Author

      平賀佳奈さん
      意味不明ではありませんよぉ😊 平賀さんの、なんとかして少しでもわかりたいというお気持ちが伝わってきました
      発達障害の方の気持ちの感覚、全く同じとはいかなくても、理解しようとすることが、大切なんですよね 私もその気持ち、持ち続けたいです🌼

    2. たんぽぽちえさん、こんにちは(^-^)

      温かいお言葉ありがとうございます。
      変わり者の私でも、理解しようと耳を傾けてくれたり、見守って下さる方がいること、本当に有難いなぁと思います(*ov.v)o

      だからこそ、私もちえさんのように色々な声を広く受け止められるよう、勉強していきます(^-^)

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