カウンセリングはなぜ高いのか?

カウンセリングはなぜ高いのか?

「カウンセリング料金が高い」という言葉はよく耳にします。

カウンセリングが高い理由と良いカウンセリングの選び方についてまとめました。

 

1.カウンセリングの価値

映画館に行けば1,800円くらいで2時間の非日常を味わうことができます。10,000円あれば日帰り旅行に行ったり、超豪華なディナーを楽しむことができます。それではカウンセリングの価値は何でしょうか?カウンセリングを受ける人とカウンセリングをする人のその価値観が一致しなければ「高い」と感じてしまうこともあると思います。

1)時給

世間にはそこに立っていればお給料がもらえるに近い仕事があります。組織に雇用されているアルバイト的なカウンセラーはカウンセリングを時給と考えています。実際に手取りで1,000円くらいでカウンセリングしている人もいます。もしみなさんがカウンセラーで、死にそうな思いに苦しんでいる人が1,000円をくれたら1時間真剣に向き合うでしょうか?カウンセラーになりたてでカウンセリングが新鮮な時期ならまだしも、これを仕事にしようと思ったら生活が成り立たないのでカウンセリングの1時間だけは真剣にして、終わったら別のバイトのことを考えたりしてしまいます。

カウンセリングを受ける側の立場もそうです。

支払う金額に痛みがなければ真剣に向き合う力も下がってしまいます。学費を親に出してもらっている高校生、大学生が真剣に学ばないのに似ています。

 

2)カタルシス

感情を解放して、気持ちが楽になる。カウンセリングを受けるとそういう気持ちになることがあります。毎日の生活や根本的な問題が解決しなくてもひとりで溜め込まずにすむのはありがたいものです。ただ、これと同じことをしようと思ったらコンサートに行ったり、映画を観に行ったり、好きなスポーツをした方が良いかもしれません。映画が1,800円だとしたら2,000円で1時間は高いと感じるかもしれませんね。

 

3)同行二人(ドウギョウニニン)

親子関係が良好な家庭で育った子どもはひとりで何かに立ち向かう時にも親の顔を思い浮かべます。それを糧に頑張ったり、我慢したり、大きな喜びを感じます。同行二人はお遍路さんをする人には常に弘法大師が共にいるという意味で使われますが、カウンセリングにもこの感覚が生まれることがあります。

自分の人生のことをよく知っていて、自分の苦手な部分もよく知っているカウンセラーの存在が弘法大師のように感じられるのです。普通の人が簡単にできることでも自分には難しいこと。それをやり遂げた時に「普通みんなやっていますよね」という反応ではなく「これまでの苦労を知っているからこそ相当頑張りましたね」と理解してもらえるだろう。という気持ちが支えになります。

実際、ベテランのカウンセラーは悩みや精神疾患の急性期が終わると同行二人をしているだけの状態が続きます。「素晴らしいですね。頑張りましたね。この調子でいきましょう」と話を聞いてからひとこというだけでカウンセリングの効果が出るのです。

継続して親のように自分を見ていてくれる人の存在にどれくらいの価値があるでしょうか?何かを一生懸命にやっていて、それでも頑張れない人や継続が力になることを知っている人はこの同行二人をしてくれる人に価値を見出すでしょう。ビジネスをしている人なら1ヶ月に数万円でも高くはないかもしれません。

 

4)成長

カウンセリングの本質の一つは「成長」です。いつも他人のせいにして落ち込んでいた人が自分を省みることは成長。自分のことばかりを責めていた人が周囲との関係性に気づくのも成長。利己だけでも利他だけでも完全ではないと悟るのも成長。人はゆっくりでも成長しますが、心理学のテクノロジーを使うことで急激に成長することができます。10年かかる成長のプロセスを1時間に凝縮できたとしたら、その後の10年間の快適さが違います。

些細なことを気にして、すぐに落ち込んでしまう自分に気づき、「昔は些細なことを気にしていたなぁ」と言えるような自分に成長する。二度と同じ次元で悩まないようになるとしたら、どれほどの価値があるでしょうか?1,000円の対価でカウンセラーにそれを求めるのはむしろ安すぎると言えます。

 

5)人生を変えるもの

カウンセリングという文脈であっても自分以外の人の人生を変えるのは簡単なことではありません。家族でもどうしたら良いかわからないほど難しい状況を打開するには心理学の知識だけでは足りません。信頼関係を作り、理解されにくい心の中をよく理解し、社会の中に将来にその人が輝く場所を作っていく。人生が確実に変わることをカウンセリングのゴールにする。私、椎名は成功報酬型のカウンセリングとして、成功時300万円のカウンセリングをしていますが、カウンセリングを受けて「高い」と言われたことはありません。

「1年間うつ病になる人体実験のバイト代はいくら?」

と尋ねるとほとんどの人が「嫌だ」「一億円」のような回答をします。経済がわかっている人なら自分の年収以下の金額をいう人はいません。その代わり、カウンセリングの効果が期待されます。カウンセリングスキルが研ぎ澄まされていくのはある意味で当たり前です。

 

上記のどのレベルのカウンセリングを求めるのか?
上記のどのレベルのカウンセリングを提供するのか?

それによって「高い」「安い」の基準が変わります。

2.カウンセリングが高くなる理由

価値以外にもカウンセリングが高くなる理由があります。カウンセリングを受ける人は1時間の予約時間がカウンセリングなのであって、それ以外は違うと思っています。だから「時給1万円は高い」という話になります。

 

1)落ち着いた環境

どんな場所でもよければカウンセリング代金は1,000円引きくらいにはなるかもしれません。敷金礼金を払い、家賃を払い、掃除をし、快適な空間を作るにはそれなりにコストがかかります。そのカウンセラーが直接手配していなかったとしても無料ではないのです。

 

2)クライアントさんと出会うまでの費用

カウンセラーと呼ばれる人がたくさんいて、心療内科が乱立している現代では「カウンセラーになりました」というだけでは誰も相談に来ません。ブログを書いたり、交流会に参加したり、チラシを撒いたり、営業マンを雇ったり、、、都内の場合、全く知らない人と出会うまでのコストは6,000円から8,000円程度かかります。そう考えると1回目のカウンセリングは多くの場合赤字。2回目くらいから黒字になることがわかります。

自分でブログを書いている人は0円だと思っているカウンセラーも少なくないですが、ブログを書いている時間は労働をしているのですから最低でも時給1,000円で計算をすべきです。1日2時間パソコンに向かっているのなら、2,000円相当の人件費を使っていることになります。

 

3)仕入れ代

八百屋さんがニンジンを市場で仕入れるとき0円で買ってくるわけではありません。仕入れがあります。カウンセラーは「カウンセリング講座」「傾聴講座」「心理療法のセミナー」などに通って勉強をします。このときに身につけたノウハウやスキルが仕入れです。

例えば、36万円の心理カウンセラー養成講座を受講したとしたら、1年間、月3万円相当の原価がかかっているわけです。その他にもスーパーバイズと言って、先輩カウンセラーに相談をするときなどにもお金がかかります。ここで身につけたスキルがあるからこそ、問題点を瞬時に見抜いたり、すぐに仲良くなってもらえたり、切れ味の鋭い心理療法を使ってもらえるのです。

 

4)アセスメントや管理

カウンセリングはやりっぱなしではありません。カウンセリングが終わった後でカウンセラー自身がカウンセリングの内容を振り返ったり、先輩カウンセラーに指導してもらったり、継続したカウンセリングをするための計画を立てます。1時間のカウンセリングをしたら、最低でも20分。長いと数時間、その人の今後のカウンセリングのために準備をしているのです。

余談ですが、ドタキャンしてそのまま来なくなる方も少なくありません。症状が重い人だからやむを得ないと考えてカウンセラーは何も文句は言いません。が、カウンセラーがカウンセリング時間の前後にどれだけその人のことを思って、準備をしているかを想像してもらえるとカウンセリングの受け方も変わってきます。逆に何もしないカウンセラーもいますので、その辺りでも「高い」かどうかが変わってきます。

 

5)労働集約型

カウンセラーは1時間なりのカウンセリングをして初めて収入を得ることができます。システムやモノを扱っていれば、自分が休んでいても収入を得られますが、カウンセリングは基本的に労働集約型なので働いていた時間がお金になります。

インフルエンザになったり、老後、働けなくなったらそれで収入がなくなります。

世間に労働集約型の仕事はたくさんありますが、補償が少ないという意味では万が一に備えるための余力も欠かせません。

 

3.カウンセリングの相場観

カウンセリングが高いかどうかについて考察をしてきました。

カウンセリングの現場での相場観ですが、あくまで主観的な感覚で

  1. 時給カウンセラーは1,000円/時間
  2. カタルシスカウンセラーは2,000円/時間
  3. 同行二人カウンセラーは10,000円/時間
  4. 成長カウンセラーは2〜10万円/時間
  5. 人生を変えるカウンセラーは数十万〜数百万/成功時

くらいだと思います。

カウンセラーをされる方は自分がどのカテゴリーで仕事をするのかを考えて、カウンセリングの金額と内容を決めると良いと思います。カウンセリングを受ける方は「高い」と思わなくてすむようにカウンセラーに何を求めているのかを明確にされると良いと思います。

 

4.本質的には自分の価値

カウンセリングを続けていると感じるのはカウンセリング代はその人自身の価値なんだということです。

一国の要人や自分が大好きなタレントが病気になって、治療費が必要というときには億単位でも安いと感じるかもしれません。逆に誰も知らない何か特技があるわけでもないそれも「死にたい」と普段から言っているような人の治療費は1,000円でも「誰が負担するの?」ともめてしまうかもしれません。

これは他人の価値を決めるような話なので人を尊重する意味ではタブーな切り口ですが、これと同じように自分が自分にいくらの価値を見出すかだと思います。自分が自分を大事にしていたり、自分の未来をより良いものにしよう、、、つまり、一生懸命に生きていたら価値は高いものになります。逆に自分自身を大事にしていなければ延命術、蘇生術のようなものに価値はありません。

「悩み続けて動けない生活を続ける」のと「笑顔で仕事をしたり遊んだりできるような生活に切り替わる」のの差。これがカウンセリングの価値とも言えます。1,000円の人は大して苦しくないし、大して希望もない。100万円の人は耐え難い苦痛と大きな希望がある。心理カウンセラーが本当に人を大事にして、人の幸福を求めてやまない人たちだとしたら、どちらに魂を揺さぶられるでしょうか?仮に手取りが同じだとしても「100万円の差を埋めてくれ」とお願いされた方がやる気がでます。

カウンセリングの代金は突き詰めていくと「自分を復活させるのにいくらかけるか?」という話になります。

ドラゴンクエストなどのゲームでは死んでしまったキャラクターを教会でお金を払って復活させるという設定がありますが、あれに似ています。必死で育てて、頼りになる、大好きなキャラのためには大金を払って教会にお願いしますが、どうでも良いキャラのためにはお金を払いません。カウンセリングの「高い」かどうかはその復活させるキャラクターの価値と関係があるのです。

必死に鍛錬を積んだカウンセラーにとって、
1,000円のカウンセリングをさせられるほど苦痛なことはありません。報酬がないだけでなく、うまくいってもあまり喜びもないし、本人が必死じゃない。1,000円分しか価値がない作業だということに対してです。せっかく腕を磨いたなら元気になったら3億円当たったような顔で喜んでもらえるような真剣なカウンセリングがしたいものです。

44件のコメント

  1. ここまで詳しく経済の側面からカウンセラーのお話を聞いた事はなかったので、新鮮でした。
    今までカウンセラーで金銭にまつわる話と言えばカウンセリング代ぐらいしかありませんでしたからね。
    お金を支払う時には痛みもあります。
    しかしそれを打ち消してしまうほどの満足感、充足感、幸福感があるからお金を出すことができるので、カウンセラーをもし受けた時に無駄だったとか何も変わらないと不満を持つか、勿体なかったと思うのか、
    又はいい投資をできたとか、いい時間を過ごせたとか、受けてみて本当によかったと思えるか、で高いか適正価格か安いかが決まるのでしょうね。

    1. natsuさんのおっしゃる通り、価格と満足感で適正価格が決まるのかもしれませんね。
      カウンセリング代の裏には色んなものが含まれていることが分かり、納得できました。

  2. 専門家であっても関わってみて相性はあるかと思います。
    初めて会ってお話をした時に言われた一言で光が差し込むこともあれば、こんな高い料金を払って・・・と継続できないこともあるので、
    記事にあるよう目的を持った選択をすることの他に、自身に合う相手選びが出来ればよいと思いました。

    1. 「目的を持った選択をする」これが大切かもしれないですね。
      その目的を持つためにはご自身がどのようなカウンセラーを求めているのかを考えると何かのヒントになるかもしれません。

こちらから「感想」や「質問」をどうぞ!