心療内科でのカウンセリング

心療内科でのカウンセリング

最近は心療内科はどこもいっぱいで新規で診察をしてもらうのに数ヶ月待つような状態のところもあります。都内の心療内科は医師一人当たり1日に100人前後の患者さんが通っています。精神科医の労働時間を仮に8時間で計算すると1人あたり4.8分ことになります。

医師はおのずと診断に関係があるポイントしか会話できませんので、それを補完する意味でもカウンセリングが重要になります。

 

1.心療内科でカウンセリングを受けるコツ

心療内科で患者さんが医師やカウンセラーに理解されるにはコツがあります。その中でも一番気にした方が良いのが「時間」です。医師は5分の制限時間、心理カウンセラーは30分から60分程度の制限時間の中で話を聞きます。それぞれに患者さんから聴きたいポイントが違いますので、それを意識するだけでも有意義な診察、カウンセリングにすることができます。

 

1)医師のゴールは薬

基本的に精神科医との会話のゴールは薬です。「寝られない」という言葉を言えば「寝られる薬」が処方されます。5分の中ですから「寝られない」についても「入眠が良くない」のか「眠りが浅い」のかといった状態と「大体何時に寝て、何時に起きているのか?」くらいしか聞けません。

  • 「寝られない」→「寝られる薬」
  • 「不安な気持ち」→「不安を抑える薬」

のような判断基準で基本的にはチェックしていますので、自分のことを理解してもらおうとして複雑な精神構造を説明しても多くの場合理解してもらえません。医師は診察をしているので「どの診断名にあてはまるかな?」という観点で話を聞いています。5分という制限時間なので、「現在顕著な症状」「薬の効果が出ているかどうか?」「それに関係する日常生活の様子」のあたりを中心に話をすると良いと思います。

 

2)カウンセリングのゴールは受容と共感

一方でカウンセリングはその人自体を理解すること、いわゆる受容と共感がポイントになります。最近ではさまざまな資格を持った人がカウンセリングをしている心療内科もあるので、心理検査と傾聴だけということでもないようです。都内のある心療内科では「アロマ」「コーチング」「バッチフラワー」などさまざまなアプローチの人が所属していて対応してくれるところもあります。ただ、いずれの場合にも医師よりも時間をかけてその人自体を理解することができる立場で関わってくれます。

精神科医よりも時間があることは確かですが、制限時間があることは変わりません。

  • 日常的にどんな症状に悩まされているのか?(概要)
  • それに関係がありそうな過去の出来事や人間関係、生活環境など(経緯)
  • 最近で一番つらいと感じたのはどんな場面か?(具体例)
  • どうなったら一歩前に進んだことになりそうか?(ゴール)

このあたりにポイントを絞って、話を始めるとカウンセラーが状況を理解して、徐々に流れを作ってくれます。理解して欲しいという気持ちが強すぎると歴史の年表のように「1歳ではこうだった。2歳は・・」と話をしたり、30人も登場人物が出てくるようなエピソードを話す人もいますが、聞く側が理解しきれません。

「今一番つらい気持ちを象徴する一つの出来事」に絞って伝えると伝わります。

 

3)「混乱」も重要な相談内容

「混乱してしまってうまく話せない」これも心療内科では良くあるケースです。そんな時には「混乱してしまっていること」をまず伝えてください。特に初対面の心理カウンセラーからみると「人見知りの人」「混乱している人」「言語化が苦手な人」「集中力が低下している人」「不信感を持っている人」などの区別がつきにくいものです。

「今、混乱していて」「何か感じるんですが言葉にならない」「ぼーっとして頭が回っていない」など今現在起きている状態を伝えるだけでも一歩前進します。

 

2.心療内科内での連携

精神科医が診察をして「カウンセリングが必要だな」と判断したら、患者さんと相談してカウンセリングの予約を入れます。1日100人のペースで診察をしながらなので、ひとりひとりの情報を丁寧に伝えることはなかなかできません。ほとんどの心療内科では電子カルテを通して連絡を取り合っています。

精神科医にもよりますが、診察をしながら

  • 患者さん本人の訴える症状や問題(主訴)
  • 医師が観察して発見した症状や傾向、検査結果
  • 最終的にどんな状態だと見立て、診断したか
  • 投薬をはじめとしての治療計画、実施内容

などを電子カルテに記録しています。大抵は時間が足りないので、上記の中でもポイントとなるものが伝えられます。精神科医は医師として、内科医などと同じような流れで動いていますから、それをイメージすると理解しやすいかもしれません。

  • 患者さんが訴える症状や問題
  • 体温や脈拍、血液検査の結果
  • 診断
  • 処方

基本的にはこの枠組みになります。

そして、それを受けた心理カウンセラーは時間をかけて傾聴をして要点を電子カルテに書きます。心理学的な見立てと医療的な見立てを相互にやりとりしながら進めていくのです。

 

 3.心療内科で働くカウンセラー側のコツ

上手なカウンセラーは境界線を上手にコントロールして短時間で要点を押さえたカウンセリングをします。カウンセラー側のコツをお伝えします。

1)時間の境界線

カウンセリングの時間は予約の時間からとは限りません。カウンセリングが始まる数分前に「今日の相談内容」のような記入用紙を渡しておくだけでも患者さんは自分自身で話題を整理することができます。用紙に何も書かれていなかったとしても「相談をする準備」が整ってきます。カウンセリングが始まってから「えっと、、何を話したら良いか、、、」となるよりはカウンセリング開始時間の前を使って、準備ができます。

カウンセリングの課題を出すのも重要です。マッサージのように予約時間だけ何かをするのではなく、日常生活を切り替えるべく、日々の中でやることがあると変化が起きやすくなります。課題を出すことでカウンセリング時間外でもカウンセリングに向き合ってもらえます。

 

2)役割の境界線

「全部お任せでお願いします」と全身を投げ出すような人を助けるのは難しいものです。「これを工夫しているのだけれど、ここが難しい」と主体的に自分の人生に関わってくれている人の方がカウンセリングの時間を効果的に使えます。

上手なカウンセラーはこの境界線を少しずつずらして、患者さんが自立できるように促します。

気をつけて欲しいのはその逆です。人に頼られるのが大好きなカウンセラーは余計な手出しをたくさんして、患者さんの力を奪ってしまいます。「どうしたら良いでしょうか?」と泣きついてもらえることがそのカウンセラーの喜びだからです。

「大丈夫ですか?」とひとこと言うだけでクライアントさんは力が抜けてしまいます。言わずに乗り越えられそうならば、言わないのがカウンセリング的であるとも言えます。言えば依存し、言わなければ自立する局面はたくさんあります。クライアントを弱らせるのはカウンセラーの本来のあり方ではありません。クライアントさんに恨まれても自立させる局面がとても大事です。

カウンセリングのゴールが依存なのか自立なのかは非常に重要な境界線だといえます。

 

3)プロセス管理の境界線

「今何をしているのか?」が患者さんにわからない状態でカウンセリングをすることもできますが、逆に今何をしているのかを明確にすることで患者さんに協力してもらえます。カウンセリングで使われるワークの多くは簡単で数回練習すれば誰にでもできるものです。特に心療内科に来る患者さんは自分自身にだけそのワークが使えれば良いのですからもっとハードルが下がります。

ワークを自分でできるようになって、セルフケア的に活用するように促すことでより、「心療内科で治してもらった」という気持ちから「自分で対処できる」という気持ちに切り替わります。

繰り返される人生の問題に対して、対処方法をマスターしたからカウンセリング卒業ということもあり得るのです。

 

 

8件のコメント

  1. 今日の勉強✎📓
    このページの気になったことは、
    💛「大丈夫ですか?」とひとこと言うだけでクライアントさんは力が抜けるというところ
    →「大丈夫ですか?」何気ない一言で、言ってしまう気がするが、この言葉によって生むことについて考えたことがなかった。
    じゃあ、どういう言葉だといいの?と考えたが、状況、クライアントの力にもよるが、「どうですか?」と聞いて、うまくできたところに着目してフィードバックするかな?
    いやいやそこには、触れないで見守るかな?そんなことを状況を想像しながら、数日考えてしまった。
    💛時間が短いけれど、時間前~工夫することで、クライアントが主体的に人生に対処できるようにできる。工夫と技術なんだと思った。短いからこそでる自立心を育てる効果や集中力が、カウンセラーもクライアントもあるんだろうけれど、のんびり屋の私は、こんなに人生にとって大切な時間でさえ、時間時間で切ないなとも思った。
    💛とにかく、とっても大切なことは、自立なんだということ。
    居心地が良すぎるのもダメで、相談する悩みをいろいろ作り出しちゃったりしそう。これじゃ、逆効果なので、見極めて、離れる。そうなると、時間が短いこと大切なのかも。時間に関しては、許される中でやるしかないところがあるしね。

    自分なりにまとめて、勉強になったと思う。
    でも、まだカウンセリングがみえない。
    今日も、どうもありがとうございます(o^―^o)ニコ

    1. なぁーなさん
      人生にとって大切なことにも時間がさけないって、ホントに人間の生活ってなんだろ 時間時間で切ないなぁって、ほんとにそう思います 生活や仕事も時間があれば優しくなれるのに、ついつい厳しい対応になって、しまった😕と思うこともいっぱい そんな生活の中でで苦しんでるのに、心療内科でも同じかぁ そうしたいわけではないのかもしれないけれど、そうしないと、経営が成り立たないのだろうし
      あと、自立🐣 支えてもらったり、助けてもらったりすることも含めての自立をめざしたいなと思います でも、よけいなお世話はしたくないかなぁ その人の力が正当に発揮できるようなお手伝いができたら、いいなぁのかな そのために、妥当なアセスメントと目標設定と言いたいけれど、わりと直感も大切だったり😊 でも、直感があたるというのは、言葉でないものをちゃんと感じとるアンテナがあるからではないかとも思ってます🧚‍♀️

    2. たんぽぽ ちえさん、返信どうもありがとう。
      返信にも、思いをくみ取ってくれた感じがするよ、どうもありがとう。
      アンテナ使ってくれているからかな。
      私のマイペースなコメントとは違うね。勉強になります(o^―^o)ニコ

      そうそう、昨日、「自立」が大切と書いたけれど、最近、ちょろちょろ気になって。。。ちょっと、周りを見渡し、今までに思いをめぐらしてみていた。
      こうやって、傾聴やカウンセリングについて勉強していると、どうしても、支援者の態度がどうあるのがいいのか考えてしまう。
      けど、実際は、いい支援者ぽいのが、必ずしもいい支援でもなかったりしているなって。いい支援者になりたいという思い強いと、相手は支援してもらう人になっていく、支援を受ける役をやるようになるんじゃないかと思う。じゃあ、適当がいいのかっていえば、それも違う。。。。うーん、思いをくみ取ってくれた感じ、わかってくれた感じが、主体的に思いや行動につながるパワーになるんだなと。
      そう、たんぽぽ ちえさんのコメントに、私がうれしいと感じるように。
      あと、支援者の個性が大切だなっと思う。勉強していると、いい行為ができる人になろうとしちゃうけども、支援者自身が、自分の個性を大事にすることかなって。。。それが、芯のある「あり方」になったり、直感に自信持って支援していけることなのかなと。
      でも、そのバランスが難しいんだろうな。。。うーん、どうしようね?

    3. なぁーなさんへ

      どうしようね? と考えました。

      「支援者自身が自分の個性を大切にする」
      「芯のある自分」 
      これってステキなことですよね。ぶれない支援者。相手によって対応を変えることができるけれど、大切なものがはっきりしている感じ✨

      なぁーなさんは、ご自分のことをマイペースと言い切れるところがステキです。私は、自分の大切なこともあるけれど、周りの人の声も気になって、なんだか中途半端だなと思うことがたくさんあります。思い切り突っ走りたいのに、ストップをかけることにも力を注いで。よく言う表現ですが、アクセルとブレーキを両方いっぺんに踏む感じ🚗

      私の「芯」は、なんだろう? どうしたら「芯」ができるのか?
      もしかしたら、自分の心の声をちゃんと受け止めて、それに答えてあげることで、年輪のように少しずつ太くなっていくのかもしれないなと思いました🌱

      いちばん近いのに、わかりづらい自分のこと。
      少し知る努力をすることが、いい支援をする力につながっていくのかもしれないな。

      そんなふうに思いました。
      うん!
      ありがとうございました🌼

  2. 心療内科とカウンセリングの違いをブログに書こうと思っていたところでした。

  3. 大丈夫?
    その一言が、どれほど悲しくて情けない気持ちになるかを思い出しました。
    もちろん気遣いであるのは百も承知の上で、君なら大丈夫だよ!あなたなら!と言ってくれる人がどれほど貴重な存在であったか!^_^
    自分が身内や親い人を相手に同じことをしていないか?これからも肝に銘じていきたいなと!^_^

  4. 短い診療時間をいかに有効かつ効果的なものにするか。その選択が患者側にあるというのは面白いですね!

  5. とても分かりやすく為になる内容でした。精神科や心療内科の先生も、システムの問題で淡白な対応をせざるを得ない所もあるんですね。

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