2 傾聴の目的とは


2 傾聴の目的とは?

みなさんはなぜ「傾聴」に興味があるのでしょうか?傾聴の先に何を見ていますか?

傾聴には目的があります。多くの人はただ理解したいだけで傾聴を学び始めたりはしません。では、その傾聴の目的とはなんでしょうか?


1.子供の問題を解決したい

もし我が子が「不登校・ひきこもり」「メンタル不全」「ゲーム依存」「犯罪」などの当事者になってしまったら、「子供の気持ちを理解したい」そう思う方も多いでしょう。

 

1)学校に行かなくなってしまった

小学校4年生くらいから子供たちにはいろいろなものが見えてきます。自分の意見もしっかり持つようになります。逆に「学校に行かなくなる」「やる気をなくす」「親と話が合わなくなる」のもこのころです。

きっかけはちょっとした友達との意見の食い違いだったようなのですが、それからもう半年、学校に行かずに部屋にこもっています。最初のうちはリビングで会話をする事もありましたが、最近は部屋にこもっていて何を考えているのかも良くわかりません。歯がゆい思いで関わっています。(中学2年生 母親)

「子供の気持ちを理解したい」それがきっかけで傾聴を学び始める人は少なくありません。しかしそれは何のためでしょうか?もし、学校に行かせるためだとしたら、すでに傾聴ではなく説得の体勢になっていますね。説得をするのなら傾聴よりも交渉術の方が向いています。それでも子供の気持ちを尊重して傾聴をしたいと考えるなら一旦学校や社会の事を忘れて話を聞いてみてください。その子は何が好きで、何に感動して、何が怖くて、どんな未来に向かう種を持っているのでしょうか?

 

2)リストカット

自分の子供が自分の身体に傷をつけているのを見たら親としてはいたたまれない気持ちになりますよね。「なんで自分の身体に傷をつけるの?」と聞く前に「やめなさい!」と言ってしまうかもしれません。

リストカットをやめなさいと剃刀を捨てられた。じゃあどうやって自分の心を落ち着けたら良いの?(高校3年生)

理由もなく自分に傷をつける人はいません。私たちは耐えられないほどの孤独を感じたり、消えてしまいそうなほど自分が小さく見えるとその考えに支配されないように何かをします。リストカットは消えてしまいそうな苦しみの中ではむしろ救いなのです。「なぜ、自分の身体に傷をつけるのか?」ではなく、「なぜ、自分の身体に傷をつけるしかなかったのか?」を傾聴してください。

 

3)ゲーム依存

虚ろな目をしてゲームをずっとしている子供をみているのはつらいものです。よく観察してみてください。お子さんはそのゲームを心の底から楽しんでいるように見えますか?

寝る直前は苦痛から解放されるようでとても楽だ。ゲームをしている間も痛みを感じない。早く人生が終わらないかな。(中学2年生)

歓迎されていないパーティやイベントに参加した時にスマホをいじりたくなりませんか?居心地が悪い感じ、疎外感、否定されている感じを味わわずにすむからです。スマホをいじっている間に時間が経って、終わりの時間が来ます。歓迎してくれる人がいたら夢中になっておしゃべりを楽しむかもしれません。傾聴はその時にどんな役にたつと思いますか?

 


2.部下の気持ちを聴く

 

ITの発展や人の生き方の多様性が増す中で上司と部下がわかりあえなくなってきています。特に若い人と関わる時には「昭和の価値観」を脇に置いて、しっかりと傾聴しないと理解できません。

 

1)KY(空気を読む)の究極形

先日、小池百合子氏が「排除」という言葉を使って惨敗しました。どれだけ素晴らしいことをして、どれだけ見えない努力をしていても「排除」という言葉一つの印象ですべてが変わってしまうのが今の社会です。特に若い年代は生まれた時からITがあり、長年SNSを使いこなしてきました。

LINEをする時にはノートに注意事項を書いてそれに違反しないようにやり取りをします。喧嘩した時にグループからどうやって外すかまで細かくルールが書かれています。そのルールの中で私はLINEをしています。(高校2年生)

SNSを使っていると「オンライン中」「既読」などさまざまな情報が行き交って、私たちは監視されているような状態になります。若い年代ほど「排除」のようなミスをしないように空気を読む力に長けています。周囲の人の反応の裏の裏まで読んで行動をしているのです。傾聴をいきなりしようとしても彼らの警戒心は簡単にはとけないかもしれません。余計なことを言って、変な対応をされて空気が乱れるのを彼らは嫌うからです。

 

2)対面よりもメッセージ

30歳あたりを境目に「あって目を見て話すのが本音」という価値観が変わってきています。「メッセージの方が本音」なのです。

メッセージは何度も書いては直してより自分の意見になるように書けるのが良いですね。言葉で話そうとすると緊張したり、気を使ったりして本音じゃないものが出てくるので(総務部 27歳男性)

傾聴の仕方も必ずしも面接のような形式が良いとは限りません。メッセージでのやり取りの方が内容の濃い傾聴になることもあります。特に若い人たちにその傾向が強くあります。「あって目を見て話す」という前提を変えた方が良いかもしれません。

 

 


3.目的を忘れずに傾聴をする

多くの人が何かを始めるとそれに没頭してしまって、本来の目的を忘れてしまいます。傾聴をマスターするためにだけ傾聴を学んでいるとなかなか上達しません。それは実務を全くしていないのに税理士や社会保険労務士などの勉強をするのにも似ています。

 

1)相手を明確にして学ぶ

この傾聴の技術を誰に使いたいのかを明確にすると学習効果が高まります。相手がいることで話しかけられる時間帯や状況、テーマなどが具体的になってきます。具体的に場面を想定して、学習したことを当てはめていきながら学ぶことをお勧めします。

 

2)傾聴ボランティアをしたい人は

実際に傾聴ボランティアをしている人に会って話を聞いてみると良いでしょう。このオンライン傾聴講座には練習会もありますので、その参加者の中には傾聴ボランティアをしている人や心理カウンセラーがいます。

 

3)100人傾聴

傾聴を学ぶ人にお勧めなのが「100人傾聴」です。100人の名前を書ける一覧表を用意して、傾聴をしたら日付と名前をメモしていきます。まずは家族や友達から「傾聴を学んでいるので、100人傾聴に協力してください」と言って、時間を空けてもらってください。

 


▼「傾聴の目的」まとめ▲

ここでは「傾聴の目的」についてご紹介しました。

  • 目的を明確にする
  •  
  • 傾聴を何に使うか明確にする
  •  
  • 経験者から話を聞く
  •  
  • 100人傾聴に挑戦してみる

傾聴とは「話し手の主観的な世界観と気持ちを理解しチカラに変える事」です。

このページの内容はpdfでダウンロードする事も可能です。

①傾聴の基本とは?

ページ下にあるコメント欄に「感想」や「質問」をお寄せください。
「オンライン傾聴講座」は皆さんとの交流によって作られています。よろしくお願いします。

 


次回予告「3.傾聴がもたらす効果」

傾聴には話し手が中心になって行うコミュニケーションですから、聴き手が積極的に誘導することはありません。一方で傾聴をするとどんな効果が期待できるのかを知っておくことで、ただ漫然と傾聴をするだけでは得られない結果になることがあります。ベテランの人は経験でそれを知っているので、それとなく効果がより大きくなる方向に反応します。傾聴のスキルで学びますが、呼吸の仕方、目の大きさ一つで話の流れは大きく変わるものです。聴き手が「これは良い流れだな」と気づくだけでも傾聴の効果が変わってきます。次回はそんな「傾聴がもたらす効果」について学びます。

12件のコメント

  1. 私の娘も中学生の時に登校をいやがり、引きこもりになりかけたことがありました。元々、コミュニケーションが苦手な子で、親としてはなるべく自分のことは自分で訴えるように自分で解決するようにと仕向けようとしたことが、今となってはよくなかったんだなと思います。「傾聴」という言葉や意味が身に沁みます。

    1. 自分で訴えるように、自分で解決するようにというのは、自立する為に必要ですよね。
      正解は分かりませんが、傾聴することで娘さんの手助けできたかもしれないと思うと、悔やまれますね。

    2. 娘さんへの思いが伝わってきました。娘さんのために考えていらっしゃったんですね。そんなRISAさんが傾聴をすることで鬼に金棒になりそですね!

  2. 色々と頷きたい部分はあった中で特に経験者から話を聞く事と100人傾聴についてはその通りだなと思いました。
    経験者に話を聞くのはどんな事でも非常に為になりますし、
    どれだけしっかり理論を学んだとしても生身の人間をいざ目の前にしたら、家族や友達との気楽な会話ではない訳ですので、緊張もかなりするでしょうし慣れていかなければいけないですね。

    1. そうですね。
      私もカウンセリングを始めたばかりの時に「死ね!バカ!消えろ」と言われ、とても困ったことがありました。
      しかし、その人は「死ね」を私に向かって言ったのではなく、また、そんなことを私に言ってしまったことを後悔し、「死ね」を和らげるために「バカ」と「消えろ」という言葉を付け加えたそうです。何人か傾聴やカウンセリングをした今なら、「死ね」と言われてもあまり動じることはありませんが、初心者の私にとっては衝撃でした。
      慣れは必要ですね。

  3. 最近の若い人は「メッセージの方が本音」という話がなるほどと思いました。
    自分に置き換えて考えた時にも、会話をした後に(特に自分の気持ちを伝える場面では)それを頭の中で振り返って「ああ言えばもっと伝わったかも」と思う時があります。
    自分の考えを整理していくうちに自分自身で気が付かなかった本音が見えてくることもあるので、そういう方法も認めてあげるのはとてもいいことだと思いました。
    時代の流れと共に柔軟に対応していくことが重要なんだとあらためて感じました。

    1. なるほど、メッセージのほうが考える時間があるので、本音が出やすいのかもしれませんね。
      時代の流れと共に柔軟に対応していくことが重要という気づき、大変勉強になります。
      若い子の考え方を切り捨てるのではなく、柔軟に対応することで、自分の器も広がる気がしました。

  4. 娘は色んな原因が重なり学校に行かなくなりリストカットや自殺未遂をしました。ゲーム依存で昼夜逆転もしました。
    その時点で学校に戻すことよりどうやったら生きていけるのか?生きているだけで充分と思うようになりました。リアルな人とのコミュニケーションが出来ない分SNSやTwitterでできた友達と繋がり救われていた部分もあり、リアルで話すことだけがコミュニケーションではないんだと娘から学びました。
    目的はその存在をがいかに価値があるものかを
    傾聴することで言葉以外で伝えることができればと心から思います。

    1. お嬢様は、SNSやtwitterでできたお友達で救われたんですね。若い人たちほど、リアルではないお友達との繋がりが強いのかもれしませんね。
      お嬢様の存在自体に価値があることが伝わることを心から祈っております。

    2. Author

      「理解されない」というのが悩みを抱えている人の共通した苦しみでもあります。逆に普通の大人が理解してくれない理解をしてもらえた時に「大事にされた」と感じる子も少なくありません。ここで交流しながら、より深く理解するためのノウハウを手に入れていただけたらと思います。また、良い情報をお持ちの方はぜひ教えてください。

  5. 子どもたちと接していると、子どもとSNSの関わりはかなりの注意が必要そうです。
    むやみやたらにLINEの使用を制限すると、友達関係に支障がでることがあります。
    twitterにはネットに乗せてはいけない写真を気軽に載せてしまい、法に触れてしまうことがあります。
    他のSNSで出会った人とリアルに会ってしまって、トラブルに巻き込まれたりします。
    SNSを全面的に許容する、全面的に禁止するという議論ではなく、
    子どもたちの世界観を知り、どのようにSNSと付き合っていくことが、お互いにとっていいことなのかを話し合いうタイミングに来ていると思います。
    そんなときに、傾聴の態度でやり取りすると、早くお互いにとっていい結論がでるかもしれません。

    1. Author

      SNSのテーマは本当に難しいですね。僕も仕事柄、たくさんの高校生とやり取りをしています。親に話せない話。先生に話せない話。テーマを選びながら彼らは助けを求めてきます。
      が、相模原のツイッターを使った自殺事件があってから、一気に連絡が取れなくなりました。「SNSは危険だ」という親の判断のようです。「お父さんがSNS禁止といったので連絡できなくなりました」のようなメッセージが来た子もいます。「SNSが悪い」というのは「会話をすると犯罪に巻き込まれる」くらいの大雑把な考え方ですよね。「ツイッターが悪い」というのもそうです。どのSNSがどのように使われているかとか、ツイッターにもいろいろな使い方があるので、ざっくり全部カットしてしまうのが本当に良いのか?と思います。そのあたりが理解できるまで寄り添えるとだいぶ話が通じやすくなりますよね。

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